エピローグ
「あなたたちのおかげで助かりました。本当にありがとうございます。どうか、お元気で。」
すっかり元気になったアイリス姫が言いました。頬に血の気が差して、唇もふっくらとして、とても美しいお姫様です。
「お役に立てて、よかったです。」
「アイリス姫もお元気で。」
ウィリアムとシンシアも、別れの挨拶をしました。
「君たちには本当に助けられたよ。ありがとう。お礼にこれを持って行ってくれ。」
レイトンが言いました。
「これは、金の実がなるブドウの苗だ。食用にしても美味しいし、乾燥させれば金塊になるという特別なブドウがなるのだよ。」
「わあ、ありがとう。大事に育てるよ。ね、シンシア。」
「ええ、実が生るのが楽しみね。珍しいものをありがとうございます。」
シンシアがにっこり笑いながら言いました。
「それじゃあ、二人ともお元気で。さようなら。」
「ウィリアムとシンシアも元気でな。さようなら。」
こうして、ウィリアムとシンシアとラスクは魔動船で地上に帰り、仲良く元気に暮らしたのでした。
後にウィリアムとシンシアのブドウ農園は、とても美味しいことで有名な金のぶどう酒の醸造所になりました。
でも、ウィリアムとシンシアはどうやってその金のブドウを手に入れたかを、終生誰にも語ることはなかったのでした。
おしまい
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