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夏の作法

作者: あまなす

その人は、いつも空を見ていた、空の、何を見ているのだろうか、その人が見ているあたりを、わたしも見てみた、真っ白な雲があったり、鳥がはたはた飛んでいたり、なんにもないただ青い夏の空だけのときもあった

必ず、本を手にしていた、教室でも、屋上でも、校庭のすみっこにいるときでさえ、空を見るときは、そうするのが、その人なりの作法のような、けれど、手にあった本が、開かれているとこは、まだ、見たことがなかった

その本は、決まって青く、けれど、夏の空のようでも、海のようでもなく、誰も泳いでいない静かなプールを思わせる青で、わたしは、さみしくなって、涙をながす

その人は、わたしに見られていることに気がついてなくって、わたしがその人をみていることは、わたし以外、ほかの誰も知らない

知らなくていい、知られてはいけない、そうやって暑い夏をやりすごす、それが、わたしにとっての、ひと夏の作法であるかのように





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