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かませ犬、嘆く

 俺はあの後ギルドで色んなやつに褒められすぎて居心地が悪くなりギルドを出て、飯でも食うことにしたんだが……


「あ! いたいたー!」


金髪の女が声をかけてきた。


「誰だよお前」


「僕はミレーヌ様に使える騎士だよ! ミレーヌ様に言われて君を探しに来たんだ!」


なんと金髪女は騎士という。


「どういう事だ? お礼は後日って聞いたんだが」


「うるせぇ! こい! だよ!」


 そして見た目だけはいいのに性格が残念な騎士に捕まり俺はついて行くことに。


「いやぁー、それにしても着いてきてくれて良かったよ」


「貴族の要請は断れないだろ」


「アハハ! それもそうなんだけどね」


 騎士が、申し訳ない、そんな顔をしながら歩く。

俺は意味がわからなかったが急に呼んだことに着いてだと思っていた。


しかし……


「あなたには東の森のフェンリル討伐に行ってもらうわ!」


 今思えば俺がお嬢様に無理難題を頼まれることについてだったのだろう。


「ふぅ、少しいいか?」


「……?」


「ふざけんなァァァァ!」


 皆はこれがどれだけヤバいか分からないだろうから説明しよう。


 この王国は四方八方に人類が立ち入れない領域がある。それぞれに人類では到底太刀打ち出来ない強大な化け物が住んでいる。


 東の森の神狼フェンリル、西の火山の不死鳥フェニックス、北の荒野の世界蛇ユグドラシル、南の海の海竜リヴァイアサン。


 それは魔物と呼ぶには強すぎて、神獣と呼び崇める地方もあるくらいなのだ。


 まあ実際他国の進軍はそいつらによって防がれているし間違いではない。


 そしてこいつはそんな強大な神獣を俺に倒せと言っていた。


「……いやわからん! あんなチビの魔法1回防いだだけだぞ?!」


「それが凄いのよ!」


「……どういう事だ?」


 詳しく話を聞くと、彼は祝福の儀で神殺しという力を得たらしく、既にA級ですら相手にならない実力があるのだとか。


 訓練せずにそんな力を持つ少年、シンラを使い神獣に取られ、支配できない土地を減らし、他国へシンラの力を見せつけ侵略する。


 それが王国上層部の考えだったらしいのだが……


「それを俺が変えた、と?」


「えぇ」


「1回魔法防いだだけで?」


「……えぇ」


「おかしいだろ! 神獣なんか倒せないぞ!」


「そんなことは私も分かってるわよ!」


「ならどうして!」


「お父様の決定よ? 覆せないわ!」


 お嬢様と言い合うがもう行くしかない、そう言われた。


「そんな馬鹿な……」


「ちなみにこれは私とシュカも行くわ」


 「シュカ?」


「あなたを連れてきた子よ」


 あの金髪騎士か……


「てか、お嬢様も行くのか?!」


「元々は私とシュカだけの予定だったからもちろんよ」


「何でまた自分の娘を死地に追いやるんだよ」


「……あなた東の森の場所、わかる?」


(東の森は……ええと)


「この街の2個隣の町の横だな」


「えぇ、つまり私の父の領地よ」


「……まさか!」


「そういう事よ……」


それが本当なら、つまり彼女の父親は……


「あのぉ……」


「なんだ金髪、今シリアスなとこなんだ。静かにしろ」


「いや、僕はまだ分かってないから教えて欲しいなぁって……僕もなんか行くみたいだし」


「はぁ、つまり彼女の父親は王様への仕事してますよアピの為に娘を差し出すってことだ!」


「えぇぇぇぇぇ!」


「あんまり言わせるなよ……」


「ま、そういう事よ、明日には出発だから。あなたに必要なものは全てこちらで用意してるからここで寝泊まりして明日ここを発つわよ。

逃げられないように屋敷からは出さないってことね」


「うそぉん……」


 思わずキャラにない言葉が出る。


「あれ?でも私はお嬢様の護衛として行かされるって聞いたけど……さっき当主様はこの人連れてくなんて言ってたっけ?」


 シュカが小声で何か言ってるがもう耳に入らない。

絶望が俺を襲う。

誰も勝てない、それが神獣という生き物なのだ。


「シュカ、部屋を案内してあげなさい」


「あ、はーい!」


 俺はシュカに案内され部屋に向かうことになった。

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