第7話 虹の架け橋
夕方に雨が上がる日には
必ず姿を消す二人として
一部で噂になってるらしい
一部って誰って思うけどね。
みんなが言ってる、っていうのが
ひとり、ふたり、さんにん、たくさん、
みたいな感じで当てにならないのと同じように。
だから、そんなの気にすることなく
虹が出そうなそんな日は
決まって二人で虹を見に行く
いつもの場所まで駆けてく途中
願いを終えた帰り道
どちらともなく手を繋ぐのは
二人の間の無言の決め事
虹がアーチを描くように
二人の間にアーチがあって
この手が描くアーチの距離が
今の二人を結ぶ距離
太陽の光と引き換えに
虹が空に消えていくとき
虹のアーチも消えていくけど
心の虹は消えないように、と
そんな気持ちが二人を繋ぐ
…そういうことだと思ってる
小さな幸せが
いつまでも続きますように
それが虹への願い事
けれど、その小さな幸せが
ほんの少し大きくなるよう
二人を繋ぐこの距離が
ほんの少し縮まりますように
そんな風にお願いしたら
この幸せは終わっちゃうかな?
この繋がりが
ずっと続きますように
私の願いはいつも彼より
ほんの少し欲張りな気がする
最後までお読みいただきありがとうございます
子供の頃の噂って
そもそも情報が正しく伝わらないから
全く当てにならないものが多いですよね。
ただ、時折意外と本質を突いているものもあり
驚かされることもあります。
…それは、大人になっても一緒か。