第4話 春色の雨
暖かな雨が降る
空を見上げると
あの日のように
雲が空を薄く覆ってる
わずかな隙間から射す光は
虹の懸け橋が架かる予告かな?
入口の屋根の下
雨宿りをして
彼を待つ
入り口では、誰もが一度は立ち止まり
空を見上げては少し気落ちした様子で傘をさす
規則性のある機械のように
入り口にたどり着き、見上げ、傘を広げる
そんな一定のリズムを
まるで気にしない様子で、
隣を誰かが走り抜けていく
木に生えたしめじのように
乱立する傘のせいで
誰かの顔ははっきり見えなかったけど
見える必要なんてない
雨をすり抜け駆けていくあれは、彼だろう
連れてってって言ったのに
あれは虹しか見てないな
「おーいっ」
叫んで呼びかける
周りに咲いた色とりどりの傘の花が
一斉に回転する
あ、しまった。
自分の失策に気付いてももう遅いが
それでも目的は達せたようだ
私の声に気づいて立ち止まる
雨の中を走っていた彼
振り向けば、それはやはり青葉くんだった
私を見て、はっとした顔になったのを見て
呆れと可愛いさを感じてしまう。
彼らしさを感じるそんな様子に
つい笑みが浮かんでしまう
彼は少し申し訳無さそうに、
けれど少し嬉しそうに
軽く一度手を合わせると
私に向かって手を伸ばす
私は彼に駆け寄って
その手を離さないように
ぎゅっと強く握りしめた
最後までお読みいただきありがとうございます
以前は別のクラスの設定でしたが
今回は同じクラスの設定です
クラスメイトにこの様子を見られてたら
次の日の反応を考えると怖い、と思うけど
嬉しいって感情が先走ると
そういうことも考えられないのかな




