第1話 虹を待つ
過去に詩の形態で投稿していたものを
少し小説風に手直しして投稿しています。
そのため、一人称の心理描写が多いです
冷たい雨が降る
空を見上げると
雲が空を薄く覆う
わずかな隙間から射す光は
雨の終わりの予告かな?
入口の屋根の下で
雨宿りをして晴れを待つ
不意に視界が暗くなり、隣に誰かの気配がした
振り向くと、
そこには同じクラスの青葉くんが立っていて
無言で私に傘を差し出していた
普段から口数が少なくて
クラスでも誰かと話してる姿なんてほとんど見ない不思議くん
人と付き合うのが苦手かといえば
用事のあるときに話しかけると
普通に答えが返ってくる
話せば面白いことも言えるし
活発的じゃなさそうに見えて
運動もできる
だかは、人と群れるのが嫌いなのかな、
なんて勝手に思ってた
そんな不思議くんが
何故か私に傘を差し出して突っ立っている
その勢いに押されて、
わけもわからず傘を受け取ると、
彼はそのまま外へと飛び出していった
雲の隙間から光が差し込んできたとはいっても
雨足はまだ強い
「濡れちゃうよ!」
彼にそう叫んでみたら
「虹が出るから
もう要らない
傘は邪魔だから
持ってって」
そんな答えが返ってきて
彼はそのまま雨の中を走り去っていった
あっという間の出来事に
ただ呆然と空を見る
確かに雨はまだ降り続いていたけど
雲の隙間を縫うようにして
射し込みはじめた太陽の光が
空にうっすら小さな虹を
いつの間にか作り出してた
最後までお読みいただきありがとうございます。