「女性優位社会」を掲げる人間の矛盾
僕が日頃Twitterで「ツイフェミ」のツイートで、目にしていることを晴香視点に乗せて、考察とともに書きました。
恐らくですが、この物語全体の真理を突いているんじゃないかと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
私は2度目の面会が終わった後、車を運転しながら考えていた。
『子供を抑制させることで優秀な子供に育つ。』という謎理論についてだ。
確かに勉強しかさせていないのだから、学力的な知識は普通の人よりは良い部類に入る。
だが、それ以外の知識、雑学や娯楽の知識には欠けていて、そういった人間が社会に出て昇進していく。
またそういった人間の大半は人前に出ることが難しかったり、ゲスい人間性になったりしている、という事実。
そしてそれは連鎖するかのように次代の子供にもそういった教育は受け継がれる。
そういった人間は、大抵が『社会的無能』に見られたりしているのだ。
もっとも、そう思われている本人は「優秀」だと思い込んでいるので社会の停滞も招くし、ブラック企業の増加にも繋がっている。
要は古いのだ。
思考そのものが。
私は大学時代にアニメに出会ってからその連鎖から抜け出せた。
心理学を勉強していたことも功を奏したのかもしれないが。
その甲斐あって、ウケは悪くても編集長から仕事を貰えたりしている。
今回の件だってそうだ。
いくら幼少期に情報に触れさせなかったとしても、大人になれば情報は錯綜とする。
その情報が入ってしまったとしたら、そういった環境で育った子供がどうなるかは目に見えている。
自己都合解釈でその情報を入れないか、情報のキャパオーバーを起こして今回の件みたくなるか。
いくら東大を出ていようが、中卒だろうが、社会で出世できるのは本当にごく僅かだ。
むしろ東大や早大を出ている人間の方が発想力が欠如してしまっていたりする。
だから「学歴マウント」も起こるし、左派系勢力の主張にあるような「ダブル・スタンダード」になっていたりもしているものだ。
そういう環境で育った人間に限って。
私の論文には、俗にいう「ラディカルフェミニスト」という、女性優遇、女性優位社会を掲げる人間によく叩かれたりしているが、私は全く気にしていない。
人間というのは、一度疑ったものを永遠に疑い続ける習性がある。
大学生の時にあの教育の間違いに気づけたからこそだ。
母が私によく言っていたのは「女性は差別されている」との言葉。
私は別に「差別」を感じたことは、アニメオタクに対する偏見みたいなものというだけで、「女性」としての差別は受けていたと感じることはまず無かった。
前述したように、私はカウンセラーの資格も取得している。
その資格も手伝っての仕事のチャンスが貰えているのだろうとは思うし、仕事を貰えているからといって、優遇されているわけでもないし冷遇されているわけでもないのだから。
色々な人からの加藤の話を聞く限り、加藤はラディカルフェミニズムの「犠牲者」になったのではないだろうか。
いや、そうとしか思えない。
私が感じたことを、編集長や、ユナが私に対して言っているのだから間違いはないだろう。
歴代の伝説の殺人鬼も、加藤と全く同じ境遇の人物が多かった。
なぜ、そんな子供に自らのエゴを押し付ける人間に限ってアニメやイラストを、女性キャラが使われていたというだけで「性的消費だ」だとか、「子供の教育に悪い」などという御託を並べてこぞって否定するのだろうか。
今となっては考えられないことだ。
子供は親を選べないというが、加藤だけでなく、そういう境遇の子供達が可哀想になってくる。
無論、私も。
そんなことを考えながら運転していると、いつのまにか自宅に到着していた。
「………実家に……帰ってみるか……。」
私は母と一度向き合ってみることにした。
私にとって、悪夢の時間だった、あの家に。
ざっくり書きましたけど、次回は晴香が実家に帰ります。
とはいっても日帰りなのですが。