幕間 水面下の暴食の魔王
「ブッフフフフ……徐々に呪いが浸透してきて良い感じねぇ。――この帝都全域にねぇ!」
魔王カロリングをその内に宿したカロリーヌは、帝都にある高台に立って眼下を見下ろしていた。
喉が渇いたのかカレーを飲み物代わりに飲む男性、屋台で揚げバターを買う女性、腹相撲をする肥満児たち――
その道行く人々はどこか気怠げで、ふっくらとしている人間が多い。
「マッスリン公爵家の地位で裏から人間を支配する計画は失敗しちゃったけど、もっと良いことを思いついちゃったのだから良しとしましょう。ぶひひ」
上機嫌のカロリーヌは、角砂糖を大きな手のひら一杯に掴んで口に放り込んでいた。
バリボリと豪快に噛み砕く音が響き渡る。
「成り行きだったけど、まずは帝国の支柱となる人物――アース皇子に呪いをかける。そして、それを国民全体に伝播させていって……」
眼下に見渡す限りの帝都住民、誰も彼もが程度は違うが肥満の症状が出ているのがわかる。
「最後にアース皇子を美しい最上級の肥満体に堕としてしまえば、連鎖的に呪いで国民全体もアタシの支配下に置けるって寸法なのよぉ……! ブーッヒヒヒヒヒ!」
暗雲立ちこめる帝都にカロリーヌの高笑いが木霊していた。
「……って、あら? もう角砂糖がなくなっちゃったわね。お砂糖不足はお肌に悪いわ。今度は樽で買わないと」





