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【連載版】追放後の悪役令嬢ですが、暇だったので身体を鍛えて最強になりました  作者: タック
第二章

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天才芸術家、知らない内に重力トレーニング

 ケインは作業場の中で一人、鬼気迫る表情を見せていた。

 彫刻用の作業場にしている一室なのだが、石材加工用のノミやハンマーが散乱していた。

 その中央には大地を司る〝カッラーラ神〟の加護を受けたといわれる大理石が鎮座している。


「くっ、ダメだ……」


 ケインは大理石を削るも、あまり手が進まない。

 人の形に到達するまでいかず、まだ大部分に石の形が残っている。


「集中力が足りない……今の私ではこの大理石を無駄にしてしまう」


 偉大なる彫刻家は自らが形を決めるのではなく〝彫る前から石が形を教えてくれている〟という。

 普段のケインも〝視える〟のだが、今は調子が悪くそうもいかない。


「この状態では〝あの人〟を表現することができない……」


 いつも作品に対しては妥協をしないのだが、今回は特にその傾向が強かった。

 命を賭してでも、自分が納得できなければ彫れないというくらいの誓約だ。

 限界を超えて集中、太陽を焦がすほどの情熱を注ぎ込まなければいけないのに、カロリーヌからの脅迫めいた依頼でそれが達成できない。

 悔しさと己の未熟さでどうにかなってしまいそうだ。


「もし、あの人が王都から追放されずにいて、目の前でモデルになってくれれば……。いや、せめて私の疲れた体調だけでも……」


 そう、精神的に追いつめられて寝不足となり、食欲すら出ないのだ。

 身体さえ動けば芸術活動はできる。しかし、それは必要最低限なのだ。

 ベストでなければ、良い物は作れない。


「……それにしても、何か今日はいつも以上に疲れるな。気のせいかもしれないが、身体が重いような……」


 ケインは首を傾げた。

 精神的にはつらくなっていないので、もしかしたらジョセフィーヌと出会って色々と打ち明けられて、気が抜けてしまったのだろうと思うことにした。

 疲れているのだが、それは不思議と悪い気分ではない。

 少し休憩もかねて、部屋の外へ出てみることにした。

 外は静かなので、ジョセフィーヌはもう帰ってしまったかもしれない。


「って、えぇ……?」


 ドアを開けると、そこには静かにスクワットをしているジョセフィーヌがいた。

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【作者の書籍情報】
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『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』カドカワBOOKS様書籍紹介ページ
エルムたちの海でのバカンスや、可愛いひなワイバーン、勇者の隠された過去など7万字くらい大幅加筆修正されています。
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【こちらの連載もよろしくお願いします】
『猫かぶり魔王、聖女のフリをして世界を手中に収める ~いいえ、破滅フラグを回避しながらテイムでモフモフ王国を作りたいだけの転生ゲーマーです~』
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