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プロローグ
――神々しい。
ただそこにいるだけで周囲のすべてを圧倒する存在。
浮遊した影は三つ。見上げる者を睥睨した彼女たち――女神と呼ばれるそれらは、なるほど人間離れした美貌を讃えていた。
静寂。
それだけで世界が完結しているかのような、何者にも侵しがたい沈黙だ。
それは、女神のうちの一柱が形のいい唇を震わせることで破られる。
「――さあ、選びなさい。私たちのうち、最も美しいのは誰なのかを」
鈴の音が鳴るような声は、静寂を打ち破るものであったはずなのに、何の抵抗もなく心地よい音色として耳に入ってくる。
――最も美しいのは誰なのか。
それは本当に難しい問いだけど、どう答えるのかはもう決まっている。