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対魔法使い戦術



「素晴らしい」


背後から聞こえる場違いでムカつく声に振り向いた

そこには三人目の、そしてあの時見た最後の敵がいる

見たとは言ったはものの姿は違う

判断した基準は声質とこの状況で話しかけてくるかどうかだ


「何のようだと問いただしたいが決まってんだよな」


「それはもちろん」


ムカつく声だ

しかし巨大な鎧で顔は見えながそれでもムカつくのに変わりはない

きっと顔だってムカつく


「さっさとやろうか、お前らに用はない」


俺が用があるのはあのクソ野郎だ

人体実験をし人を殺した事、そして一番許せないのはエルクヒナを

何も知らない女の子を勝手に都合のいいコマとして運用した事


「こちらはあるんですよ」


「そうかよ」


凱殻の出力を上げて大きく飛んだ

瞬間的に敵の懐に入り込み魔力放出を合わせたパワーで殴った


「効きませんよ」


ビクともしない

吹っ飛ぶ事もなく揺れる事もなく

動かなかった、何のダメージも与えられなかった


「私は……」


「魔法無効化だっけか」


そこまで言えば思い出す

前回の戦いでこいつは止めだと言わんばかりにそう言った

自慢するかのように、価値を確信したものの余裕だったのだろう

だがそれは愚作だった

この時点で俺は固有魔術の力を知った

警戒する事ができた


「言いましたっけ」


不思議そうな顔の裏腹になぜ知っていると言う悪意がある

先に言い出されるとシャクか

めんどくさい奴だな


「さて忘れた」


俺は民家に向かって走った

無策に隠れる事を目的としたものではない

ガラスを突き破って中に転がり込む、案の定住人はいない

それはあの時から知っている


そして手に取ったのは油

油のなみなみ入った瓶を掴んで投げつけた

重い鎧を着飾ったそいつは避ける事なく当たる

避ける必要がないと踏んだのかそのまま液体はかかる


「こんなことしたって目眩しにもならない」


「だろうな」


俺は片手に持っていた物体をついでに投げつけた

ライダーを投げつけた


民家にあった

常備されていたものを拝借したまでだ

魔法を使えない俺は魔道具しか使えない

だが魔道具はどうだ?

街灯はついているしここで魔法無効化が働けば街の機能が停止する

電車も通っておりその魔力は地下を通っているのだ

どれか一つでも切断されたのなら街に被害が出てもおかしくはない 


だからこいつの能力には穴がある


付け入る隙があるはずなのだ





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