貴族はめんどくさいの塊
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ここで第一の難関が現れた
俺にとって最悪の脅威
人間が最も恐れるもの
そう迷子だ
ここにいた頃からずっと思っていたがここの内部入り組み過ぎじゃね
絶対いらんだろ。さっきから扉のない廊下を永遠と歩いている気がするんだけど
そこんとこどうなってんの誰だよこんな複雑な城造ったの
途方も無い廊下を歩いていること一時間
視界に映るもの全てがおんなじに見えてくる
さっきから歩いているのかすら自信なくなってくるほどの代わり映えのなさ
もういいや
窓に手をかけ開ける
窓枠に足を乗せて跳んだ
この入り組んだ糞みたいな室内から大空に羽ばたいた
本来ならやったら死刑ものだが仕方がない
それに見つかっていないからセーフだカウントされない
ちょと待て、窓閉めたっけ
動揺したり隠したりしたら疑われる
証拠がなければ犯罪にはならん
クールになれば疑われることなどない
華麗に地面に降り立ち何食わぬ顔で歩き出す
外の方が見渡しやすい、何ならそのまま城から出ても良かったがあらぬ疑いをかけられても面倒だから素直に歩いて行こう
ある程度歩き俺の知っているところに出たあたりで
呼び止められた
「あ、水成!」
誰が俺を呼び必要があると振り向いてみると知っている顔が二つ
そう言って来たのは久しぶりに見た火織と立花だった
前と大して変わらないが服装だけは魔術師っぽくなっている
やっぱりローブと杖を持ったら魔術師に見えるんだなと感じた
彼女たちは近くまで駆け寄り
「死にかけたんだって」
会って一声目がそれなのかもっと無かったのか
何してたとかどうしてたとか一般的な質問というものはないのか
おっと危ない
今の俺はクールに行かなくてはいかない
こいつらに窓から飛び降りたと知られるのはまずい
俺以上にこの城に住み着いている奴らだチクるのなんて一瞬だ
限界まで思考を巡らせる俺の気も知らないで会話をぶち込んできた
「そんで助けてもらったと、変なことするから」
『お前のやったことは全て意味があったが上層部の連中はそれを知らない、輝樹でさえも自分が助けられた事しか知らない』
そうか知らないんだったな
全部誰かの手柄になっているんだよな
自分が必死こいて成し遂げたことがこうも小馬鹿にされると嫌な気分になるもんだな
でもそんな道を選んだんだ受け入れて進むしか方法はない
気持ちを切り替えていつも通りに接する
「あって早々失礼過ぎないか?もっと感動の再会は無かったのか」
「あるわけないでしょ」
きっぱり言った
そこまで否定しなくてもいうほどに言い俺を横から軽く叩いた
しかし今の俺には片腕がないためすり抜けて腰に当たる
「あっごめんなさい」
この服は長袖で隠れていたから今まで気づかなかったのだろうか
火織は腕がないことに気づいて顔を真っ青にした
「いいさ、治癒魔法がある世界だぞすぐに治る」
気にする必要はない
元々無謀を承知で凱殻なしで魔力弾を放った
ただでさえ酷使し過ぎと傷だらけの身体で限界まで溜め込んだ魔力を放った、無事で済むとは到底思っていない
それでも不便かもしれないが家に帰ればすぐ治る
それまでの辛抱だしそこまで長くはない走れば一日もかからずつくだろう
「私たちも怪我すると治してくれるし」
無理やり作ったような笑顔を出して言った
「そうだよね、すぐに治してくれるよう頼みに行こう」
先ほどの負い目なのか残っている腕を掴んで引っ張った
すぐにでも治してもらいたいという気持ちが出ていた
「それは無理なんだ」
腕を振りほどいて言った
すると彼女たちが
「何で?あの治癒師腕がいいんだよすぐに治るって」
「骨折した時もすぐに治ったよ」
無理にでも連れて行こうとするのを止めて
「それはお前らだからやったことだ」
「戦力外通告を受けた俺にそこまでする義理をこの国は持っていない」
もしも今回の功績が認められていればあったかもしれないが
それをはもうない、よってこの国から俺が受けられる恩恵は端っから存在しない
いくら彼女たちが訴えたところで貴重な治癒師を動かすことはできない
「だから良いんだ、心配してくれるだけで良い」
「そんなのおかしい」
急に叫び出した彼女に
「今回俺が戦場に行って何をした、輝樹を助けようと息巻いて突っ込んで逆に助けられ被害者を増やし自身が死にかけただけだという事はお前たちがよく知っているだろう」
「そういう事だ、気にかけなくて良い」
振り向き門に向かって歩く
「変わったのねあなたは」
背後から聞こえる声に足を止める
「こんな世界だ、多少違いは出てくるだろ」
「お前らだって変わっただろう?輝樹は魔族と互角以上に戦って、お前だって魔法の腕が上がっただろ見てわかる」
「今からでも戻ってこれるよう説得するから」
「死なないで」
弱々しかった
こいつらなりに生きてきてこの世界から辛く険しいものだと知っている
その中で離れていく仲間に耐えきれかったのだろう
「俺はずっとお前らの友達だろ?次会うときは一緒に戦えるくらい強くなる」
いつかまた戦う時が来る
その時までにもっと強くならなくてはいけない
あの時みたいな敗北はもう許されない、必ず勝つしかないんだ
「俺にも帰る場所ができたそいつを一生かけています守るつもりだ」
それに待っている奴に失望されたくないしな
「輝樹に言っとけ!俺はまだ死なない今度あったら覚えとけってな」
そう言ってから門に向かって走り出した
■
門を出てまっすぐ歩くと沢山の出店があった
骨董品やアクセサリー、食べ物なんかがよく売っていた
色々なものがあると流し見ていたときなにかを忘れている気がした
そう、お土産だ
現在一文無しの俺が何を買う
いっそ森に入って何か取ってくるしか手段はない
この店を指をくわえて見ていろと神が言っているのだ、くそユノめなんて事してくれる
仕方ないどうにかして金を得るか
今から適当な魔物ぶっ殺してハンターギルドに持っていけば何とか
急いで城下町から出ることにして走り出した
あと少しだというときに
「おいお前、ちょとツラ貸せよ」
なんか絡まれた
厳つい顔した世紀末のチンピラ数人だ
俺が何かしたかわからんが絡まれたのだふざけんな
こういうときはどうすればいいのか考えよう
殴る、蹴る、助けを呼ぶ
三択だ、もちろん選ぶものは決まっている
助けを呼ぶに決まっているだろう、こんな街中で喧嘩なんかしたたら即豚箱行きだ
誰がそんなことするか
「助けてー」
大声で叫んだが誰も助けてくれない
みんなして見て見ぬふりしている
視線を下げて通り過ぎるのだ、ぶん殴るぞ助けろ
「こいつビビってやんの」
おい誰が助けろ、俺が豚箱にぶち込まれる前に助けろ
しかし現実は非情だった
腕を引きずられながら裏路地に連れ込まれ壁に叩きつけられる
「抵抗はするなよ」
「金なんて持ってませんよ一文無しのクソガキですが」
一応言っておこう暴力反対だから
「そんなんじゃねえよこっちはハンターとしてのお仕事だ」
チンピラは俺の胸ぐらを掴んで壁に押し付けるが俺の方が身長が高いという
非常事態付きのためなんか虚しく思える
「そうか」
そいつの顔面を潰した
「がぁぁぁああああ」
叫びながら転がりる
「うるせぇよ」
そう言って肺を蹴って肋骨を折って突き刺す
顔面に拳を叩きつけただけだろ
ちょと鼻の骨を砕いて頭蓋骨にヒビ入れただけだ死にはしない
お話ができるくらいは生かしておくか
「さっきの意味は何だ?」
笑顔で聞いたはずなのに殴りかかってきた
殴りかかる拳を逸らし腕を折り関節部を粉々に砕く
激痛で倒れこむそいつの顔面を蹴り飛ばし壁に激突させた
「逃げるなよ」
勝てないとわかり逃げようとする奴に魔力弾を放ち転ばせる
転び這いつくばっているところに足首を砕いて次の奴を睨みつける
「嘘だ!こんなの聞いてない死にかけた意気地なしのはずだなんでこんなに強いんだ」
その情報が入っているということは王国内部の人間か
よく話を聞かないといけないな
そいつに近づき問いかけた
「お前らが聞いた話全部言え、さもないと」
そいつの金的を踏み、相手の顔を睨みつけ
「想像にお任せしようか」
「言う言うから辞めてくれ!」
「それで良い、どうぞ?」
絶望に染まった顔で話し始めた
「俺たちはお前の捕獲を言い渡されたBランクハンターだ」
ハンターと言っていたな
それに捕獲か何のために
「お前を捕獲すれば自分のいいようにできると貴族が」
貴族か、もしかするとあいつか
俺を辺境に飛ばそうとしたあれならやりかねん
そうなると理由は勇者の私物化
俺というカードを手に入れ好きに動かそうという魂胆か
よくできている話だな、ただ俺が捕まらなかったことを除いて
まあいい
踏む力を強めて踏み潰す
「がぁぁぁああああ」
「何で」
恐怖の目を向けてくる奴に向かって
「馬鹿か?散々しといて虫のいい話だな」
意識を奪って財布を取り出し中身を確認
「結構持ってんな、これで金銭面はいいだろう」
そこそこの物が入っていてBハンターとは伊達じゃないな
他にも転がっている奴らから弄って財布を取り出した
全て残らず掠め取りポケットに入れる
そしてチンピラから身ぐるみ剥いでから裏路地から出た
そしてホクホク顔だ、やったね
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