喧嘩上等!チンピラ戦法
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「糞ガキ如きが」
血を流しながら瓦礫を退かして出てくる
頭に血が上って逆上しているのが目に見えて分かる
「テメェなんぞ腹掻っ捌いて内臓穿り返してやる!」
「楽に死ねると思うなよ」
大量放出される剣を回避しながら突き進むとアラコクスは魔法で岩石を作りたし放った
それを捉える回避しながら前に出る
俺は勢いは殺さず片足を軸にし回転蹴りを放ち岩石を粉々に粉砕する
「まだだ」
間合いを詰めて拳を放つが剣によって受け止められる
下から蹴りを突き出そうとするが剣に斬られると感じて後ろに飛んだ
「チッ」
放った剣と同時にアラコクスも走り出した
今までは操るだけだったのに今度は動いたのだ
剣を放ちそれを叩き落とすとアラコクスが弾かれた剣を掴み斬りかかってくる
それを凱殻を纏った腕で逸らして肘で殴る
咄嗟に後ろに飛び威力を殺したおかげで鼻血程度で済んでいる
根っからの魔法使いタイプではない、剣を操るのだから当たり前か
再び距離を詰める
この状況下で剣が使えない以上他の武器か肉弾戦しか手札がない
都合よく武器が落ちていればいいものをすでに壊れていて使いものにはならん
飛んでくる剣を避け蹴りを放つ
それを逸らしてきたので拳をたたきつけようとすると腕の半ばで剣を貫かせた
拳を放つとき腕に剣を貫かせ軌道を逸らしやがったのだ
このままでは俺の首が切断されてしまう、止むを得ず
砕けて力の入らない腕を鞭のようにして叩きつける
まともに残っている骨がないため風を切る音がしアラコクスの手を弾いた
凱殻の硬度からしなるように叩いたその手は砕け散った
「ガァァアアアア」
汚いまでの苦鳴色々なものを吐き出しながら
俺たちは傷口を抑えながらよろよろと後退する
「グァァァアアア」
砕けた腕を抑えながら地面に倒れこむアラコクスと
今度こそ腕が限界を迎え吹き飛び千切れた肩を握りしめる
血反吐をぶちまけながら膝をついて立ち上がり凱殻で傷口を魔力で押さえつけて止血する
「本当にお前人間か?」
吐血した口をぬぐいながら剣をついて立ち上がる
「そうだ」
「だったらおかしいな、人間の戦い方じゃないこそこそするのが人間だろ」
剣を飛ばす
射出された剣は俺を回り込むように移動する
そして二本三本と次第に増えて俺を囲んでいく
全方位からの斬撃が一斉に放たれる
避け切れるはずがない
だったら少しでも前に進むしかない、突き刺さる剣に見向きもせず走る
地面が爆発した
「お前がやったんだろこれは」
あの地雷か
すでに仕込んでいたのか
爆風の嵐に身をかがめる
舞う砂埃に目を潰されて視界が失われる
魔力消費が激しい心眼を発動し攻撃を避ける
巨大な反応があった
知っているこれは魔導収縮砲
視界を遮断されたせいで反応が遅れ回避することができなかった
大出力のエネルギーをその身に受ける
全てが押しつぶされそうな衝撃と身体が焼ける激痛
そして魔導収縮砲が止んだ時
俺の下半身が吹き飛ばされた
全く気づかず結果だけを瞬時に認識した
血は出ているのだろうか、なぜ意識が残っているのか
走馬灯すら感じさせない速さでぶった切った、下を向く気力すら無く上半身が地面に向かうのを眺めていた
そのとき何かが血と共に登っていくのが眼に映る
宙を舞うその物体に見覚えがある
『それは器が全て破壊され魂と引き離されない限り修復できる』
この服と同時に受け取った回復薬
死んでなければ復活できるその言葉を信じて噛み付いた
試験管状の容器ごと口に含み砕いた
口内にガラスの破片が突き刺さり血が出るがすぐに止まった
身体の再生が始まっている、失った部位の再生が始まり足が復活したのだ
倒れこむ身体を踏みとどまりアラコクスに向かって拳を放つ
アラコクスは咄嗟に防御しようとしたが遅く俺の拳は確実に捉えていた
顔面にめり込み歪な音を出しながら砕き衝撃で身体が浮かぶ
そして後方に吹っ飛ぶ前に腕を掴み逃がさない
「ガハッガッ!」
拳を引き戻しもう一度叩き込む
衝撃で吹き飛ぶ身体を掴みまた叩き込む、心は痛まない
腕が引っ張られ関節から激痛がするが耐え再び拳に力を入れる
まだだ、まだもっとこいつを殺すには足りない
振り下ろした拳はアラコクスを捉えて粉砕したと思いきや
俺の首筋に剣が突き刺さり頚動脈を掻っ切った
そして掴んでいる腕に向かってギロチンのように刃が迫り斬り落とす
勝利への笑みを浮かべたアラコクスに斬り落とされた断面でぶん殴る
拳ではないから凱殻がなかったからよろけるだけだった
アラコクスは背後に飛び距離を取り自前の回復薬を取り出しビンを開けて飲み干した
淡い光に包まれてへし曲がった腕や形の変わった頭蓋骨が元に戻っていく
そんなものを待たずに地面に転がっている石ころを投げる
それに続いて走り拳に魔力を集める
目の前に突如として現れた岩石を叩き壊して進む
がその前に剣が置かれていた
拳に魔力を集めていたせいで腹部に突き刺さる
一瞬の硬直の際に背後からまた突き刺さる
足を斬り裂かれ立ち上がることができない俺に上空からの岩石
そして追い討ちに無数の剣を束ねて発車した
拳が届く距離ではない絶体絶命に思えるがまだやっていないことがある
俺は魔導収縮砲を再現することができるかもしれないのだ
だったらやるしかない、今やらずにどうするつもりだ
両手に集めてある魔力を循環させる
拳から打ち出すことを意識して流れを感じる
拳で打ち出す
出来るはずだあれだけの魔法を食らって身体が覚えている
魔導収縮砲のエネルギーの動きを今再現しろ
手を突き出し前方へ放つ
拳大の魔力の塊が放たれた、巨大な
岩石と束ねられた剣を弾き飛ばし破壊する
腕が痺れるような痛みがした
一発放つだけでも痛みが響くのか、乱発すれば腕が限界を超えるか
どちらにせよ回復薬が残っているから壊れても何とかなる
だから連続で壊れてもいいからマシンガンのように放出する
腕はギシギシと音を立て関節部からは血が吹き出す
アラコクスは剣で魔力弾を弾きながら走り隙を伺っている
斜めに回り込まれ腕の向きを変えようとするが剣を飛ばしてきた
攻撃より防御に魔力を割いたため反撃ができず接近を許してしまった
射出された剣を弾き飛ばしたと思えばアラコクスはその剣の柄を持って斬りかかる
肩先から斜めにぶった切られるが咄嗟に回復薬を口内に投げ込みアラコクスの髪の毛を掴んでぶん殴る
切断面からは再生が始まり無事完了する
衣服は勝手に再生するが回復薬を入れていた部分まで吹き飛んでしまった
もう残りは無い、正真正銘の最後の勝負になる
「なぜ倒れない?諦めない?」
拳を構える俺に説いてきた
「力の差は歴然だ、自分の身を削る事でしか攻撃できない哀れな身で」
「お前の回復薬が尽きた時それが死だ、腕を砕き身体を斬ってようやくまともに戦える奴が勝てるとでも思っているのか」
「最後は必ず勝つと決定づけられた勝負ではない!」
首を切る真似をした
「いい加減死ね」
「黙れボンクラ」
俺はこめかみをつきながら
「いいか?ここんとこの中から出てきた理屈や想像なんか意味もない、ただ無情に突きつけられるそれが死ぬって事だ、お前の汚い口から出てくる死なんて言葉に重みは無い。それに俺もお前もろくな死に方するとは思ってないさ、ただそれまでどうするかはもう決めた」
覚悟なんてもんとっくにある
「来いよ、殺して見ろよ」
射出された剣を叩き落とし
「待ってる奴がいるんだ、ここでくたばってられるかよ」
地面を蹴って間合いを詰め拳を叩き込むが剣で防御される
そのまま回し蹴りを放ち剣ごと吹き飛ばす
カウンターで放たれる剣が突き刺さるが無視して殴りかかるが
アラコクスは射出した剣にしがみついて回避する
折れて使い物にならない剣を投げて手を斬る
しがみついていた剣から手を離し地面に落ちる
地面を転がりながら剣を放つ
それを避けずに突き進む
身体のあちこちに突き刺さるが耐え、アラコクスをぶん殴った
「ガバッァア」
まだいける
地面を踏み込め
敵を殺せる道を見つけろ
飛び交う剣の中、宙を舞う岩石の間
たった一瞬一本の道になるこの直線なら行ける
風の如く突き進む
顔面を捉えて殴る
吹き飛ぶ身体を追い追撃を行う
腕を足を身体を粉砕し吹き飛ばす
いつのまにか身体に突き刺さった剣の山気にしている場合ではない
まだもっとあと少しでいいこいつを殴れば片がつく
なのになんで邪魔をするんだ
次々と剣が迫ってくる
魔力弾を放ち弾き飛ばす
あと少しだというところで地面から現れた黒い渦に巻き込まれる
上に飛んで避けようとするもすでに待機してあった剣に刺され地面に落ちる
飲み込まれ真っ暗な空間に引きずり込まれる
外に出ようと殴ってみるも壊れなかった
「封印術式だもうお前は出てこれない」
何度殴ってもビクともしない
拳からは血が出る、開けられないのかこれは
壁を引きずるように倒れこむ
諦めるな
思い出せあいつの位置を
この術式が発動する前にどこにいた
ここから声が聞こえるということは足音だって聞こえる
それがないなら動いていない、心眼は隙間がなければ発動できないためこの空間内では
たいした意味もなさない
最後の景色
アラコクスが背後に回って足元から黒い渦が生まれ飲み込まれた
ならばこの位置から背後に奴がいる
最大出力で殴れば壊れるかもしれない
腕に魔力を回せ、それ以外はいらない
魔力の噴射を利用した加速で回転し遠心力と魔力放射の力
全てのエネルギーを使っても割ることはできず精々ひび割れるだけだった
まだやれる
この隙間から残り少ない魔力で撃つ
形作るのは銃だ
指先からごく小さな魔力の塊をを最大放射する
術式自体を使っている奴を殺せば解除されるんだろ
背後にもたれかかり狙いを定める
指先から放出、殺すはアラコクス
残り少ない魔力を限界まで貯め解き放った
封印術式を突き破ってアラコクスの腕と右半身を吹き飛ばした
「ガアァァアァアアア」
そして俺の魔力弾の衝撃に耐えきれず腕が吹き飛んだ
凱殻すら使っていない生身の身体で放ったのだ代償としては安いもんだ
封印術式が解除され地面に大の字に倒れる
腕から流れる血を腰に巻いているベルトで縛って止血
「まだダァ」
するとアラコクスの仲間、魔族の兵の死体を弄り回復薬を奪い取り回復していた
生きているのが不思議なくらいの傷だが立ち上がって剣を握っていた
「貴様の敗因はたった一つ」
一方俺はまともに動けはしない
ボロボロになった足で立ち上がろうとするが崩れ落ちる
「貴様には信頼できる仲間がいなかった、共に戦う仲間がいなかった」
「その戦闘能力、天性のセンスば認めよう今までの手合いの中でも上位に入る」
「さらばだぁ孤独の戦士よ」
振り上げられた剣は俺を斬り裂いた
剣が弾かれる音がし俺は切られていなかった
「コイツが助けた、そのお陰で俺はここに居るそれでいいだろう」
俺の前に大男がいた
「時間切れか」
この人は見たことがある
輝樹の指南役、この国の騎士団長
「こいつに信頼できる仲間がいなくてもそのうちできる、それに今はたった一人で戦ってくれた戦士に敬意を表する」
「後は任せろ、お前のお陰で死守できた礼を言う」
助かったと安堵した
この戦場の真っ只中でそんなことを思った
「さあ、散っていった仲間とここにいる奴全員の紡いだ最後の砦だ」
「潔く死んでくれ」
そして意識を失い
こっから先は覚えていない
感想やご指摘をいただけたら幸いです
ようやくこの章も終わりが見えてきた




