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空中散歩



目の前に選択肢が出てきた


先程食らったあの魔導収縮砲

あれはもう食らいたくないと本気で思った

魔力が足りず不完全だったはいえ頑丈な凱殻を貫いて衝撃を与える

皮膚は焼け焦げ骨は髄まで激痛が走る、大出力のエネルギー兵器だ


残念ながら今操縦している飛竜まで凱殻で防御する事は無理

単純に魔力量の問題と飛竜が耐え切れずに死ぬからだ


飛竜を盾にし凱殻を使えば何とかなるかもしれないが、攻撃を食らいたくないし飛竜もここで失うのは惜しい。そのため俺は飛竜に魔導収縮砲の軌道上から逸れるように指示を出す


飛竜は翼を羽ばたかせ風を捉えて横に逸れた

自分の直ぐ横を魔力の放出が通る、その周りに巻き起こった暴風によって少し飛ばされるが

体勢を立て直し前に進む、魔導収縮砲は直線上に放たれそのうち放出が止んだ


それを眺めている時何かを感じた

俺はあの攻撃を食らった、その時感じたのはとてつもない衝撃だったのは今でも思い出せる

凱殻は半ば実体化しているも同然で魔導収縮砲もそうだった

あれはもろに受け生きている俺だから解るがあれはただの魔力だった、何のエレメントも介していない魔力だったはずだが顔の皮膚は無くなった


もしかすると


俺が凱殻を展開したまま魔導収縮砲を食らい逃げ場の無くなった空気が発熱を起こしたと考えれば皮膚が焼け焦げたのは説明がつく、確かそんな話があったはずだ何か忘れたが


魔導収縮砲は魔道具で放出しているのを見たしあれは詠唱はしていなかった

魔力結晶から取り出した魔力をそのまま放っているのなら俺にも出来るのかもしれない

当然威力は大分落ちるが遠距離の攻撃手段が手に入る


両手を筒の様にして前に出した

魔力を手の中に集め放出できないかと試してみたが難しい

速度も無ければ威力もないただ手から放出しているだけだ


しかしできるという事だけでもわかったのだこれで良しとしよう


もう一回魔導収縮砲食らったらできる気がする


あーあ、魔がさした

やめようそんな物騒な話はやめよう

これからゆっくりやっていけば良いのだ、なんならユノから聞き出せば良い知恵があるはずだし今はここでの自分の使命を全うするのが一番だ


頭によぎったアホな考えを捨てて飛竜の腹を蹴ってスピードを上げる

飛竜で空中を移動しながらボウガンをセットする


さっきのが第二支部だったはずだからな

飛竜に巻きつけてあるバックから地図を取り出し見る

この位置から薄っすら海岸が見えるから方角は北北西かな


第三支部は遠いし第一支部はもっと遠い

それにさっき通信が入れられていたみたいだから無策で飛び込むのは駄目だろう

今も追っ手が来ていると構えておいたほうがいい


そうこうしている内にやっぱり来た

五十か、それくらいの飛竜に兵が跨り大軍で迎え撃ってきた


止まっていると狙われる

飛竜の大軍を中心とし円を描く様に飛ぶ

距離はボウガンの射程距離以上離れて様子を見る、彼らは次々とボウガンの狙いを定める

銃だろうと矢だろうと放射線状に飛ぶ、放たれてからこの位置までは届かない


彼らが矢を放った

総勢五十以上の兵による射撃

やはり届かなかった、彼らがまた装填を始めた瞬間飛竜を動かした


ボウガンと手綱で両手がふさがっている彼らが太刀打ち出来るはずもなく

飛竜の翼や脚で突き落とした、仲間のピンチにボウガンを放ち救おうとするが遅い

すでに装填が完了して予測通りに動いている俺の方が早かった


脳天に矢が突き刺さり絶命

そして構えたままのボウガンを奪い取り背後の敵へと放つ

顔面では無いか不意を突かれ体勢を崩し飛竜から転げ落ちた


そして装填が終わった兵から矢を放つ

その矢の嵐のような場所を潜り抜け確実に自分の攻撃を届かせる


そのうちボウガンでは不利だと判断して槍に持ち替えた

彼らは槍を突き出し突進してきた


それをギリギリで旋回し避ける、俺の飛竜の翼を敵兵にぶつけ落とす

操縦者のいなくなった飛竜の尻を蹴り大軍の中に突っ込ませた

しかし彼らは難なく躱しこちらに近づいてくる


ボウガンを装填し敵兵に向けて放つが避けられてしまう

そして槍の間合いに入られ突きを繰り出してくる


突き出される槍をボウガンの弦と弓の部分に通してボウガンごと横に投げる

槍は巻き込まれて敵兵の手からこぼれ落ちる、その隙に突き出す腕を掴んで引っ張る

前のめりに倒れてくる所に合わせて拳を叩き込む


後方に吹っ飛ばされたのを流し見てボウガンを奪い取った

矢を装填し近づいてくる敵に放つ


そして目の前の敵を全て倒した時

何かが近づく音が聞こえる


飛竜では無い魔法でも無い

もっと俺たちにとって身近なものだ

なんだ、この違和感は


そして音はどんどん大きくなっていく

太陽が見えなくなった雲なら良い、しかしこれは違うのだ

何かがある何かが太陽を遮った、それほどの何かが遙か上空に存在している



その物体は雲をかき分け突き進んでくる


戦場に巨大な影が出来る


「嘘だろ」


目を疑う光景だった


考えればあってもおかしくは無いはずだ

しかし失念していた飛竜という手段を用いていたから除外していたのだ

この飛行船が存在している事について


大きさは巨大な豪華客船くらいはあるとされる船が飛んでいた

羽の様なものが付いておりプロペラが回っている

船と飛行機を足して割ったものだ


「マジかよ」


飛行船の先端部に取り付けられた筒状の物体が前に突き出た

そしてそこから光が漏れ出す、俺は見たことがある

これは魔導収縮砲の兆候だ


あんなもんが上空から放射されたら

飛行船なんて飛竜なんかじゃ太刀打ちできない


あいにくだが俺の知っているかぎり王国軍は飛行船を持っていない

それは王城にいた頃に調べている


こいつをなんとかしないと負ける可能性がある

感想や意見をいただきけたら幸いです

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