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突進



軍勢に真っ向から向かう

本当なら回り道してでも安全策を取りたいところだが今は非常時だ


俺が突き進むのを阻止しようと何人もの兵が束になって盾を構える

そこにお構いなく突っ込む、凱殻で強化された肉体はビクともしない

むしろ構えていた方が跳ね飛ばされた


起き上がる前に先に進む

あらゆる武具の妨害を諸共せず破壊しながら先に進む


斬りかかる剣をずらして背後の敵をあえて斬らせる

そして動揺しているうちにそいつも仕留める

乱戦は得意なジャンルのようだ

少しずらして奪った武器を振るえば殺せる


それに俺以外が全員敵だ、周りを気にする必要も無駄なしきたりもない

狭いところから槍を突き出す奴よりずっと楽だ

何故なら敵自身が盾になってくれるから


突き出してくる槍を掴み引く

自分以上の力を加えられたことで体勢を崩しよろけた所で手首を叩き槍を奪う

奪った槍を回転させて柄を握り薙ぎ払う


敵の小隊を薙ぎ払い少しだけ道ができる

その間に向かって槍を直線に投げる、一人や二人巻き込んで突き進むが盾によって止められてしまうがお陰で人一人分の通路ができた。盾に突き刺さった槍の柄を上から踏みつけ飛ぶ


ここで時間をかけている場合では無い


隊列の僅かな隙間に降り立ち軍隊の足元を狙って滑り混み肉の壁を越える

と待ち伏せしていた魔族達が居た、無理やり腕を使って身体を浮かし斬りかかってくる兵に向かって蹴りを入れる

すると束になっていた兵達が雪崩のように倒れていく


その時向こうの景色が見えた

少しだけ空間が空いていたのだ

輝樹と魔族の兵、それもかなり強いだろう奴と一騎打ちをしていた


そして勇者が死ぬと言われていた以上コイツがかなりの使い手だと予測できる

一般兵をなぎ倒しながらその戦いを観る


何度かの斬り合いのうちついに輝樹の剣が弾かれた、今は反り返っておりすぐに反撃できない

しかし魔族は流れるように次の一手を打つ

それを視認した瞬間俺は今まで以上に走り出した、身体が斬られるのがわかっていたが先に進んだ


届くか

咄嗟に落ちている槍を手にして腕を伸ばす


ギリギリ剣の刃が通る線上に槍を届かせることができた


「間に合った!」


この体勢で魔族から距離を取ることはできないし

まともに攻撃できるものではない、無理やり届かせたからだ


俺は槍を半ば程でへし折り鋭い方で突き刺そうとするが魔族は俺を吹き飛ばし距離をとった


「水成!なんで!」


「話は後だここをどうにかしてからゆっくりしようか」


槍の刃を敵に向けてから手を離す

落ちて行く槍が膝程になった時魔族に目掛けて蹴った

意表を突かれ肩に槍の刃が突き刺さる


追い討ちをかけるように踏み込むがほかの兵に邪魔される

地面の砂ごと蹴り目潰しをしてから顔面を殴った


「汚いな」


「やり方については何も言うな、こうでもしないといけなかったんだ」


凄い奇怪な目で見られているが

仕方がないんだ許せ



「そろそろ本気を出しますか」


輝樹と対峙ししていた魔族が言い出した

今までが本気で無い、輝樹より強いそれが彼らが殺せると言った所以か


「久し振りに固有魔術を使うか」


固有魔術その単語は


「逃げろ!コイツはヤバイ」



走馬灯のように流れた映像

それは深く刻み込まれた事だ、生きる上で無謀な戦いは挑まない方が特だ


『固有魔術使いとは戦うな』


『そんなに強いんですか』


『あれはある種の到達点だからな、そいつの一番最適な形で発現する。真っ正面から太刀打ちするのはどんな猛者でも難しい』


『出会ったら発動される前に殺すか、逃げろ。あれは心性を自身が定めた領域内に限定して発動しているから広くなればなるほど中身は薄くなる、一般的には百メートルで機能していれば十分すぎる」



言われたことを実行する

心性領域が表に出るまでの時間内にコイツを仕留めなければ退路が断たれる


俺は目の前の敵兵などに目もくれずただそいつを殺すために前に出た

しかし魔族も馬鹿ではない、ここで死んでも庇えば勇者を討ち取る絶好のチャンスだと思ったのだろう

俺が踏み出すのと同時に間に割って入った


「そこを退けぇ!」


右手を前に突き出し敵兵の盾ごと薙ぎ払う


「絶対に止めろ!」


何重にも盾を構えて衝撃に備えて通さんとする

俺は僅かな隙間に手を挟み力ずくでこじ開ける


「がぁぁぁああああ」


しかし全力で彼らも止めに来た


「魔導収縮砲装填完了」


ヤバイ


直感でそう感じた

両手で防御の構えを取り当たる表面積を小さくする

そして凱殻を最大展開、これを耐えられなければ全てが水の泡


「放射!」


全ての影を消し去るほどの光

太陽が間近にあるくらいの眩い光で眼に映るもの全てを白で塗り潰す

しかしそれ以上に肉体が悲鳴をあげる、焼けるような熱に鋼鉄の鉛玉を連続して叩きつけられるほどの衝撃が絶えず続く

胃の中身を全てぶちまけ、身体をプレス機にかけられている感覚だ


しかもこれは凱殻を纏った状態でこれなのだ生身なら消し飛んでもおかしくない

そんなもの塵一つ残らないだろう


しかしここで引くほどヤワじゃないんだ


引きちぎれそうな身体に鞭打って魔力の塊をかき分ける

そして放射線状から脱出し殺す


「コイツまだ生きているのか」


「顔の皮膚がほとんどないのに、何者だ人間じゃないのか」


雑魚に構っていられない

心性領域を解放されてはいけない


ひと蹴りで目の前まで飛び拳を引く


ここで潰す


あと少し、あと数センチで敵を捉えられるところで


「固有魔術、心性領域解放」


「劔の宴」


横からの衝撃に吹っ飛ばされ地面を無様に転がる

そして飛んでくる物体を視認しさらに転がって躱す


何が起きた

素早く身体を起こし敵を見据えると高速で飛来する物体をいくつか感知

紙一重で全ての物体を躱す


するとその場に落ちている全ての剣が一人でに動き始め

次第に宙に浮き始め魔族の周りを円を描くように回り始めた

遅かったか、間に合わず発動されたか


「ここから離れるぞ!固有魔術は相手にするな!ここから脱出できればそれでいい」


発動した固有魔術は術者本人の魔力切れか死亡により解除される

先程仕留めることが出来なかった以上魔力切れを狙うしか無いが


「どうする、勇者諸君?」


俺の思考など関係ない、奴は攻撃の手を緩めはせずまた剣を向けた

射出された剣を横に飛んで避けるが続けて数本また飛んでくる、空中では身動きが取れない

凱殻の硬度を上げて防御するが少し貫通し腕に突き刺さっていた


やはりそんなものを待っている暇はなさそうだ

ここに来るまでに使った魔力と先の魔導収縮砲のダメージで凱殻の硬度が下がっている

魔力密度が足りなかったか、これ以上の戦闘はジリ貧になる


腕に刺さった剣を引っこ抜きもう操れないよう粉々に折る

劔と指定しているから折れてそう認識できなければ動かすことはできない

固有魔術の数少ない弱点、操作系は認識できなければ動かすことはできないのだ。その場にあっても認識さえできなければ動かせない物陰に隠れているものは使えないという事だが

あいにくとだだっ広い荒野だ無理だな


俺は輝樹のすぐ横に行き


「今は回避に専念しろ、受けて立とうなんて思うなよ」


釘を刺しておく

輝樹が固有魔術の存在を知っているかわからないから念のため伝えておいた


「来るぞ!」


見るだけで百はあると思うほどの剣が一斉に射出された

弓矢よりも速く放たれる剣は俺をめがけて飛んでくる

防がなければいけないがあいにくと盾は全て奴の固有魔術に回収されている


そして飛んでくる剣を掴もうにも剣の一つ一つが意思によって動いているとしたら

危険だ、全力で回避するしか無い


急所以外は庇うな

残り少ない魔力でまた凱殻を展開できるのは数回しかない

一部の部分だけを凱殻で覆いそれ以外はさらけ出す


脇腹にかけて斬り裂かれた


「がはッガッガァ」


止血はいい

魔力で押し固める


ここからでなければいけない一刻も早く




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