疾走
これが終わったらコメディしたいな
ハーレム設定入れたのに未だに0人はおかしいしなぁ
戦術がどうとか実際俺にはよくわからない
そんな勉強してきたわけでは無いから、ただ学校で教えられてきたものしか分かっていない
ユノからも集団戦術については聞いていない、これから教えるつもりだったのかそれとも俺自身が一つの兵として参加しないと考えていたのか謎だが
言えることは俺がここで無知だってことだけだ
「陣を組め!」
一箇所に俺たちは集められてここの指揮官とやらから話を聞いた
俺たち臨時で入ってきたハンターや傭兵などを集めて一つの軍隊を作るらしい
確かに見知らぬ奴らを組み込んで下手に荒らされても困る
だからといって要らないわけでは無いからどうにかして運用法を考えた結果がこれなんだろう、とにかく集めて一気にぶつける
敵をたくさん殺せと言っているのだろう
陣と言っても名ばかりで実際は固まっているだけだ
指揮官の奴がデカイ声で怒鳴った
そうしたらたくさんのハンターが先陣切って走り出した
怒号を挙げながら走っていく、その声に続いて俺達は突撃する
「前線まで押し上げろ!」
ずっとドンパチやっている所まで一気に駆けていく
「コイツ!」
「うおおお」
ハンター達の叫び声と肉を断つ音が聞こえてきた
敵でも居たのか、俺は後ろの方にいるから見えない
心眼を使えば見えるがここで無駄遣いはしたくない、後々必要になってくるから節約しておこう。何かあったら最前の彼らが教えてくれる
「矢だ、矢が飛んでくるぞ」
上を見上げると雨のように降る矢が見えた
地面に転がっていた鉄の盾を拾い構え矢を防ぐ
矢は盾に深々と突き刺さるが自身に刺さるほどではなかった
しかしここで弓兵、それも大勢いる事が判明した
ただの剣同士で斬り合ってくれれば楽だったものを
そんな現実逃避の時間さえくれなかった
目の前の地面が爆ぜた
矢が突き刺さったままの盾を前に出し爆風と土煙を防ぐ
地面に倒れる前に片手を着いて起き上がる
地雷でもあったのか
爆心地でミンチになった死体の中から赤い鉱石が見えたことから魔道具の一種だろう
こうなってくると心眼をケチっている場合ではなくなった
半径百メートルで心眼を発動
そして直ぐにまた矢が飛んでくるのが視えた
この盾は二度は使えなさそうだったがさっきの爆発で武具がかなり飛び散ってしまっている
死体を盾にするにも大きさが足りない
心眼で捉え近くにある地雷を掘り起こし矢の雨に向かって投げた
俺が触れてからのタイムラグ爆破、爆風で矢は反れ地面に突き刺さった
まだ奥の方に前線が見える
あそこに行けばどうなっているのだろう
コイツらの文明は違う方に発達している
レベルが低いと見る気はもうない、火薬がなくとも銃がある可能性もあるのだから
しかし今の俺には知識が圧倒的に足りない
ここで決定づけられるほど持っていないのだ
もちろん勇者の現在位置もだ
作戦本部に行けば良いのか
ふと馬に乗って走っている魔族が目に入った
騎乗兵にしては珍しく単騎だった
しかもここは戦場からは少し離れている奇襲をかけるやつくらいしか通らない
もしあの魔族が自陣に戻るのならその方角に敵陣がある
それからは早かった
魔族に気づかれないよう地面を蹴って飛び走っている騎乗兵の頭部を横から掴み引きずり下ろす。バランスを崩し落馬した兵の息の根を止める
不意を突いたお陰で難なく倒せた
動かなくなった兵の私物を物色すると中から敵陣と人間側の拠点予測地か一枚の紙に書かれていた。この戦場の地図この魔族はこれを持って何をしたかったのか
そんな事を考えても仕方ない
馬に跨り人間側の作戦本部に走らせた
■
第三まである本部
第一は書いてなかったが第二と第三は書いてあった
第三本部はかなり特殊な場所にありここから走っても時間がかかる
第二本部は戦前より少し離れているが現在地には近い
行くならここしかないと最短距離を走らせる
道中前線の戦いを見る事が出来た
それは見覚えのあるものが多く存在していた
確かあれは古代ギリシャでよく使われたとされる集団陣形ファランクス
俺たちの世界では矢の発明に飲まれ表舞台から引きずり降ろされ主役の座を奪われてしまった筈だがこの世界は魔法があった
降り注ぐ矢を魔法で弾き飛ばし勢いよく前に進み敵に向かって突っ込んだ
機動性については身体強化魔法でも使えばどうとでもなる
それに今は乱戦でもないし場は開けている真価を十分に発揮できるだろう
100人前後の集団が密集して陣を固め、盾の上から槍を突き出して攻撃した
前の者が倒れると後方の者が進み出て交代しその繰り返しだ
そして後方にいる魔法師が上空を守り戦場での脅威となっている
だが斜型密集隊形ではない為右半身を晒してしまっているが今はそう不利になっていない
彼らは正面突破力で前線を押し切った
人間側だったから良かったものを魔族がこれを使っていたら手間取ってしまう
戦争については銃が無いからこのようなものが主流なのか
しかし油断は許されない魔法世界で何があっても驚いてしまっては無駄になる
冷静に対処しなくては
人息つく暇もなく心眼に反応が出たのだ、上空から放射状に接近を感知進行方向を右にずらす。すると空から矢ではなく岩がいくつも降ってきたのだ
投石か
形状は平衡錘投石機
大砲、火薬が出るまでの間花道だったやつだ
大質量を一気に投げる事ができる、それにこれは人力ではない
そして馬鹿正直に石だけ投げてくるとも思えない
そしてまた一つまた一つと上空に岩が打ち上げられていき
凄まじい速度で落下する
これでファランクスを倒すのか
だが違うだろう心眼の反応では別のものが引っかかる
これは囮と牽制、地形に変化をもたらし馬の通りを悪くするのが目的か
後には引けない状況か
遠回りする形で観察していると
前線から爆破音が鳴り響く
さっきの地雷か、衝撃で爆破するものだからあれは投石機で投げれるようなものではない
ファランクスが上に乗ったか、未知の兵器は恐ろしいと再確認した
無警戒の下からの攻撃に反応できるのもは居らず打ち上げられる
そして投石機から投げられたのは死体だった
動物の死骸や同士の死体を彼らは投石機に入れて投げたのだ
兵が密集している場所を目掛けて飛ばした
そんなことする理由はただ一つ
伝染病の蔓延
この動物は何らかの病原菌を持っている、もしくは埋め込まれた
そんなものを上空から叩きつけたりすれば
血が付着し体内に侵入し後々死に至る
なら飲み水はどうなる
ここでの人々が飲んだ水はどうなっている
上流に死体を置いておけば
察しがついた
今すぐ戻らなくてはいけない
馬を蹴りスピードを上げる
早くしなければこの戦いの敗因は戦力なんかじゃなかった
何かにつまずいたのか馬が転倒し俺は宙に投げ出された
咄嗟のことに受け身をとれず地面を転がる
「おいおい見っともないな」
そこには数人の魔族が武器を構えていた
思考に全て持っていかれていたせいか心眼に気づいていなかった
「それって俺らの馬じゃん盗んだの」
「盗賊かよ」
俺は起き上がり拳を握った
馬の脚は折れていた、馬にとって骨折は廃棄
もう使えないと見ていいだろう
「こんな奴らばっかならもう勝ったも同然」
「勇者ももう終わりだしね」
今なんて言った
勇者が終わりって言ったのか
俺は敵の正面に飛んだ
鼻先から蹴りを放ち頭蓋骨ごと砕く
脳組織を破壊され死んだであろう魔族は崩れ落ちる
「お前!」
斬りかかる刃を逸らし手首を掴む
敵の力を利用し投げ飛ばし身動きの取れない空中で回し蹴りをし殺す
逆上し横薙ぎに振るわれる槍を掴み持ち上げる
槍ごと宙にぶん投げると手を離し無様に落ちてくるところに合わせて拳を放った
「今なんて言った」
「はぁ?聞こえなかったのか勇者が死ぬって言ったんだよ」
魔族の兵はゲラゲラと笑った
俺が焦っているのが面白いのかこれから人類の希望たる勇者が殺されるのが嬉しいのか
真意は分かりかねるが俺はそいつの胸ぐらを掴んで引き寄せた
「何処だ」
「何がだ」
魔族は分かっているかとぼける
しかしその顔からは小馬鹿にしたような表情が見える
「勇者の位置を教えろ」
掴む力が強くなるが一向に口を割らない
「言うわけねえだろそれに今から行ってももう無理なんだろうしな」
そのあざ笑う表情に俺は怒りを覚えた
今すぐコイツを殺してやりたいほどの憎悪が溢れ出る
「テメェ」
コイツを殴ってでも聞き出そうと拳を握り力を込めて振り上げた時
魔族の身体が何の前触れもなく爆散した
魔族は跡形もなく弾け飛び原形すら残していなかった
俺は凱殻をまとっていたから無傷だったが情報源をやられた事に頭を抱える
コイツ自決したのか、拷問を受ける前に口を滑らせる前に死を選んだか、兵士としてその判断は間違っていないがこっちにとっては良い迷惑だ
これでは輝樹が何処にいるかわからなくなった
別の魔族を取っ捕まえてくるか、しかしまた自決されたら時間の無駄だ
仕方ないがやるしかないだろう
俺の魔力が持つか、時間がないやるしかないだろ
全方位に心眼を発動
戦地の隅々まで行き渡らせる、俺の中の膨大な魔力が一気に失われていくのが感じられる
これはきついな持ってあとどのくらいだ
見つけた
間に合うかこの魔力量で戦闘が行えるか
雑魚なら何とかなるが団長クラスに出られると万全でも苦戦する
ましてやこの状況で戦えるか
考えている暇はない
担いで逃げるだけでいいコイツを生きながらえさせればまだ希望はあるはずだ
凱殻内部に流れる魔力量を一時的に増やす
それも脚部に重点的に増やしスピードに耐え切れるよう形状を変える
地面を蹴り風よりを速く走る
邪魔な兵はぶっばす
ご指摘いただけたら幸いです




