今の日々
酷い夢を見た気がした
夢だから思い出そうとしても大して出てこない
ただ気分が悪い、寝起きは最悪だ
自分の顔を丁度目の辺りに腕を乗せ視界をさえぎる
部屋に漂う独特な匂いにため息を吐く
腕を退け未だに違和感を感じる天井を眺めボヤけた視界を擦った
少しずつはっきりする視界を眺める
長い間無心だったが時間を無駄にしたくないので起きる
だるい身体を無理捩り両腕をついて上半身を起こした
窓に付いているカーテンから漏れる光からもう日は登っていると考えていいだろう
時計がないから正確な時間はわからないが体内時計だと十時くらいだと思う
自分のベットじゃないからか少し寝付きが悪かった気がする
ベットから出てカーテンを開ける
射し込む日の光に当てられた
少しの間外を眺めていたが
部屋の外に出ようと思い振り返る
その時右足に何かが当たった
ふと見てみると向こうから持ってきたカバンが落ちていた
部屋の周りを見回してみると思った以上に散らかっていた
昨日の夜は明かりなんて無かったから気づかなかったのだろう
机や床に散らばっている私物や散乱した書物の山
着替えとか諸々だ
「少しは片付けるかな?」
そう言って床に落ちている物を拾った
■
部屋の物を一通り片付け終えた俺は部屋の外へ出た
ガラスをこれまでかというくらいふんだんに使った豪華な廊下
下には赤い絨毯が敷かれている
アンティークな雰囲気の扉を閉める
何時もは大体食事が置いてあるが今は無かった
メイドたちが職務放棄したのか、また俺がいつもより早く起きた為必要ないと判断したのか分からないが。
自分で食事を取りに行かなければならなくなった
もっと寝てれば良かったな
待っていてもペットじゃあるまい食堂もどきに行こう
煌びやかなおっさん達はパーティ会場で食べてるがそんな所行く度胸ない
丁度持ってきて書物が読み終わったし別のものを持ってきてもいいくらいだついでに行こう
書庫の行き方は分かっている二回も迷えば意地でも覚える
それにしても文字を覚えられる魔道具があるのは驚いた、識字率の向上のためらしいがとても便利だ
俺は片手に三冊の本を抱え書庫へ向かう
道中いろんな人とすれ違った
とても眩しそうに窓を拭いている人やホウキで掃いている人もいる
中にはサボっている奴も…
「あれが勇者か」
「若いな」
ちらほらと興味深い声が聞こえる
いつのまにか俺がいた場所は訓練場の近くだった
今まで気づかなかったけどここがそうなのか、興味あるし少しだけ見ようか
主に勇者に関してだが
「はあああ」
勇者は上段に構えた剣を振り下ろす
それを兵士が受け止めて鍔迫り合いをしている
両者とも一旦距離を置いてからもう一度構える
大量の土煙を上げ踏み込んだ
横薙ぎに振るわれるその剣を迎え撃つ
何度かの攻防の末見事勇者が勝った
俺には途中から何やってんのかわからないが
周りの人が頷いてるしきっと凄いんだろうな
剣なんて持った事ない奴が一週間程でここまで出来るようになるとは覚えがいいのか
勇者の加護が凄いのか、それともイケメンパワーか
「おーい、水成!」
知ってる声が聞こえる
呼ばれたからには返事しないとマズイ 視線が
そこにはついこないだ別れたばかりの友人がいた
俺を見つけたから声をかけたのだろうと思って返事を返した
「どうした勇者」
そうだ、こいつは伝説の勇者 輝樹だ
あの時俺たちは勇者の儀式に巻き込まれたのだ
御目当てはこいつ、俺はおまけで付いてきた金魚の糞
「変なこと言うなよ、普通で良いって」
「いや、俺みたいな凡人には恐れ多いですよ」
俺は両手を上げからかった
輝樹は笑いながら言う
俺は輝樹の格好が見たことのない服装だと思った
少なくとも俺たちの世界の服ではなさそうだ
「お前は訓練でもしてたのか?」
輝樹の服装は比較的動きやすい格好だった
ジャージとはまた違うが上と下が別れていて最低限の箇所だけは守れるようになっている
腰には剣帯をつけ木刀をぶら下げている
「訓練か?」
「ああ、今終わったんだ、」
「へえ」
俺は腕を組んで話を聞いた
聞いていると思い出したことがある
忘れてたとは言わないが
「あいつらどうしてる?」
自分と同じ召喚に巻き込まれたオマケの二人のことだ
「多分だけど、魔法の練習してると思うから射撃場とかかな」
「ふーん」
俺はそれを聞いてから本題に戻ろうと思った
「まあいいや、飯行こう」
「そうだね」
輝樹は笑って了承してくれた
俺たちは食堂に向かって歩いた
食堂では輝樹の話を聞いていた
こんな事が出来るようになったとか、誰かがいい奴だとかそんなたわいの無い会話だ
でもその時がとても嬉しそうに見えた
きっと嬉しいのだろう俺と違って
■
途中、話を聞いている時俺は相槌を打っていたが話は全く入っていなかった
まるでフィルターでもかかったかのようだ
口は動いているが音が聞こえない
きっと皮肉だ
どんどん強くなる彼らを眺めることしかできない俺はおかしかった
強くなり戦いに行く彼らの姿が一瞬だけ見えた気がした
戦いたくは無かったけど俺は置いていかれたく無かったのだろう
何もかもが変わっていったあの日から進んでいないのは自分の方なのに
■
突然の出来事に脳が思考を停止していた、いきなり視界が白く塗りつぶされたと思ったら今度は見覚えのない場所に拉致されている
しかも石造りのタイルに投げ出されたのだ
「あベェ」
「あだッ」
落ちた時の衝撃と
上から降ってきた一人分の体重で二回痛い
ふざけんな、なんで
ちょっと待て、さっき俺たちは平地を歩いていた
それは間違いないと思う、なのになぜか俺の方が下になっているのだ、これは由々しき事態だ
不思議だろ、理不尽だろ
なのでいってもいい権利はある
「重い重い!早く退け!」
あまりの重さに耐えきれず悪態をついた
無理やり上に乗っている輝樹を転がしてどかそうと何度も押すが体制の都合あまり力が入らない
「悪い」
輝樹は慌てて俺の上から退いた
もっと早くどけばよかったのに
「てか此処はどこだ、出来れば異世界ならスローライフ系が良いんだが」
さりげなく願望を言ってみる
みんな思ってることだ戦地にいきなりポーンなんて最悪だ
「確かに!」
同士がいたぞ
やったぁ
そんなことより
まずは状況というものを整理しないとどうにもならない
これがドッキリだった時のリアクションに困る
絶対ないけど
あたりを見渡してみると
下にあるなんかちょとコレジャナイ感のある魔法陣と少しのカンテラ
お約束のお姫様は居ない
あるのはなんか湿った空間
暗いし狭くはないか窮屈なかんじがする
まあとにかく俺と輝樹しかいないから
「俺たちだけか…」
「そうみたいだ」
幸い周りに居た人は来ていなかった
集団転移のパニックなんちゃらではなさそうだ
そうなっていたら真っ先に死にそうだ、ああいうのって殺し合いさせるから
実際にそうなりたくない
一応鞄をの中身はちゃんとあった
俺たちの服や持ち物はそのまま持っている
大したものはないがせいぜい二度と使わないだろう教科書の束、売ったら金になるのか?
なら触れていた物は一緒にきたのか?
しかし俺は近くにいただけのはずだ、どこかが当たっていたのか
それともどのくらいの距離で呼び出すと決まっているのか
そうなると
「なあ、あの光の時人と触れていたか」
「ああ、確か」
言い終わる前に察しがついた
輝樹が言い終わる前にまたあの謎の光が出た
あの眩しい光最悪の気分だ
もしかしたらと思い
光の中心らしき部分を向くと人影が見えた
その時
俺は上から降ってくる彼女たちにドロップキックを喰らった
顔面にだ
■
「うん、全然わかんない!」
新しく来た?
先程のバカが触れていたせいで転移してきたのだ
大量の被害者の数
これ以上は増えないと思いたい
そしてやってきた立花と火織
こいつらに俺たちも良くわかってないが
推測を話した
ここが異世界かも知れないということ
全く伝わってないが
何とか説明しようとするが
伝わらないなぜだ
頭を抱えていると
輝樹が急に俺たちの前にたった
そして重そうな扉が開いて人が入ってきた
圧倒的なイケメンとそうでない爺さんだ
「おい、勇者は一人のはずだが」
圧力をかけるような声だった
それってこの中の誰か呼ばれ損だな
俺じゃなければいいがな
「きっと巻き込まれたのでしょう」
老人は冷静に答えた
イケメンは前に出てきて
「ラテム王国第1王子フィリス=ラテムだ」
礼を取り名乗った
続けて後ろの爺さんも
「宮廷魔道研究主任シイです」
なんか凄そうな人達だな
そう思って見ていると
話を切り出してきた
「この度貴殿らをお呼びしたのは」
「この世界の危機、魔族の進行を防ぎ世界を救って欲しいのです」
■
は…
は……
ご冗談を
ハハハハハ
「受けましょう」
俺が現実逃避してると
輝樹が勝手に承諾した
「ちょと待て、ゆっくり寝てまた明日答えを出そう な」
「急すぎるよ」
「いくらなんでも」
俺たちは宥めるよう言うが
「ごめん」
輝樹は俯いて謝った
「だけど…」
その時俺は気づいた
輝樹の表情は
面白そうとか遊び半分ではなかった
ちゃんと向き合おうとしてる
どこからその覚悟が出るのか知らんが
はぁ
なんでかなぁ
俺は輝樹の前に立ち
「わかった、だが理由は言え、今すぐだ」
確認を取った
クソみたいな理由ならこの場で叩く
こいつらに同じ思いをさせたくないから
輝樹は俺たちにの方を向いて話した
「此処で嫌だって言っても多分いや絶対後悔する、誰かが傷つくたびに自分のせいだ自分が見殺しにしたって毎回毎回思うだろう。だったら初めからやろうと思う…、なんて言うかな、まあ自分が責められたく無いんだよね」
きっとこいつは優しい
だから見捨てない
顔も知らない誰かのために戦おうとする馬鹿だ
そんな馬鹿を一人にする程俺は馬鹿じゃない
俺は輝樹の横に立ち
「仕方ないから俺もいくわ」
自分でも何で言ったか知らん
でも、あいつの言葉を借りるなら後悔すると思った
見殺しにしろと言われて了承する奴なんてどこにもいない
すると残った彼女達も
「私も!」
「うん!」
ついていくと言った
「みんな行くってよ、よかったな」
俺は輝樹の背中を強く叩いた
輝樹はよろけながら
「ありがとう」
その顔は両手で隠されてよく見えなかったが察した
友達の我儘を聞いてあげるのが
友達の役目だしな
魔族だろうが
悪魔だろうがへっちゃらだ
「詳しく話して欲しい」
何で俺たちが呼ばれたか
■
要するに魔族っいうバケモンがいて
国の危機だから助けてってことか
「少し違うな」
王子は否定する
「魔大陸というものがある、そこに住んでるのが魔族だ」
魔大陸?
また変なワード出たよ
「奴らは我々人類を滅ぼす」
だからそいつらと戦えと
さっき承諾したからやんなきゃいけないじゃん
「で、具体的には何を」
俺は王子に質問だ
王子は そうだな と言い
「魔族とその長魔王の討伐だ」
魔王いるのか
楽そうじゃないな
「水成どういうこと」
火織はわかってなかった
「簡単に言うとだな」
人を襲う悪い種族 魔族の討伐
魔族を束ねる悪の帝王、魔王を倒す
後はうるさい奴倒せばいいんじゃね
「ざっくりしすぎだけど、分かった」
一応頷いたし良いか
「まずは貴殿らの力の測定だな」
「ついてきたまえ」
俺たちはイケメンの背中をついていった
■
「属性というものがありそれらはいくつかに分けられている」
「火、水、土、雷、風、闇、光、治、神、念、それと生があります」
念、生?
これだけわからんな
それ以外は全部何となくわかるのだが
これがオタク歴の浅さが出た結果かまだみじんこみたいだし
「生属性とはなんですか」
「それは人間が生まれた時から持っている必需品のようなもの、身体強化魔法などが当てはまります」
身体強化ねあると思っていたよ
それがないとどうやって戦うんだって言われるし
「冒険者ってありますか」
火織が聞いた
それは俺も聞きたかった
いややってみたい職業一位だよ絶対
「冒険者とはなんですか?」
知らないの
「ほら、魔物とか狩ったり、迷宮探索したり素材の買い取りで金稼ぐ」
「似たようなものならハンターというものがあります、しかしあれはとても厳しい職業ですのでやめておいた方がよろしいと」
老魔法使いがいう
なんかこの人がいうと貫禄あるな
全部本当に聞こえる、本当だけどさ
「それではここで計測を行います」
研究者の一人がそう言い巨大な機械を指した
機械と言うより結晶そしてでかい石
ただ何か凄いってことだけは分かる
「ここに手を当ててください]
そこに手を当てればいいのか
凄い普通だな、さっきまで全く違って大丈夫かと心配したがこれは普通だな
[私やる]
皆がどうするか迷っていると
後ろから元気よく声を上げた
「見てみたいし、自分の力」
だけど少しだけ怖くないか
俺かあれこれ考えている内に測定か始まった
「流石ですね並の何倍もあります」
「やった」
「ですか勇者ではないようです」
それで勇者でないとはどれだけ凄いんだ
そして輝樹の番が来た
手を触れると当たりが昼間以上に輝いた
「おお!これはすごい全属性の適性がある」
すごいのか?それ
でもだいたいこの手の話だとどれかに特化した方がどうとかあるけど
満遍なく使えるのはいいことだな、水と火でお湯沸かせるしね
なんだか反応が終わっていない
測ってる人たちの表情がどんどん凄いことにになっていくんなけど
「なんだこれは魔力総量が凄いぞ」
「測れない」
測定器が壊れた
どうすんの俺
次なんだけど
「水成殿は少し待ってもらって」
なんでこうなるのかな
面白い!続きが気になる!と言う方は評価を
つまらん 読み難いと感じた方は詳しく御指摘頂けると幸いです