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嘘だろおい

迷宮が音を立てて崩れる

外壁が崩れ、天井までもが落ちる

迷宮自体を破壊するなどという行為は外から見ていたユノからしてもあり得ない事だった


頂上にに置いてあった魔物は鎧型の筈だ

その魔物の力ではここまでの被害を出せるはずがないのだ

ましてや水成は人間の域だ、これから修得するはずの技術を教えていない為

迷宮を破壊するパワーは無い


ユノは瓦礫の落下によって巻き起された土煙を障壁で防いだ


「どうなってる」


入り口は塞がっている為崩れた外壁から入る

吹き飛ばして時間を止めればいい話だが水成相手だとどうなるかわからない

全てが止まった世界で窒息死なんてありえる、世界から取り残されたらいけない


対象に直接かける力は影響するが事象変更は影響しないかもしれない

再構築や蘇生といった力が及ばない可能性がある為一刻も早く探すしかない



すぐに迷宮内部へ入ると目の前にあるものは瓦礫の山だった

瓦礫の山を吹き飛ばし深く入る

そこで目にしたのは全てのプラント壊されていた異質な光景

内側ではなく外側からまるで壁が削り取られたとユノは感じた


急いで辺りを見回す

時刻が夜なため見え難いが彼女の目は特別だ

遮るものは何もない、少ない光を集め普段通り見えるのだ


ユノは崩れかけた螺旋階段を降りる

階段の上に散らばる瓦礫を避けながら進む


「これは」


ユノが目にしたのは異形の腕だった

人間の何十倍もある腕が壁に掴まっていたのだ

しかし関節前で引き千切られたよう途切れている


千切れてなお掴んでいる程強く握ったと感じられる


「これは一体何だ」


ユノはこの世界の事は大抵知っている

人や物だってわからないモノなどただ一人を除いて居ないはず

その為この生物はいないと断言出来る


「別世界のものなのか」


死んでしまった以上不完全なユノの力ではどうする事も出来ない

この場を離れて水成を探しに行く




最深部には血の海に沈んだ水成だった



「水成!」


ユノは血相を変えて駆け寄る

ユノは水成の頭を抱え首に手を当て脈を測る


(生きてる)


急いで回復魔法をかける

傷口が瞬く間に治っていく

顔色もよくなり、普段と変わらないくらいにもと通りになった


「よかった、本当によかった」


「もう一人は嫌だよ」







うーん


一日に何回気絶してんだって言われるくらいに気を失ってる

人間ってそんなに倒れるものなのか。この回数だけなら誇れるかもしれない

何言ってんだって思うかもしれないけど仕方ないんだ


起き上がろうとしたけど起き上がれない

まさかさっきの後遺症か、いやでもユノなら治してくれるはずだ

信じてるよ俺は


諦めて身体の力を抜いた

だらりと垂れ下がる


ん?何だろう


不思議な状況に気づいた


考えても仕方ない

まずはこの状況をどうにかしないといけないのだから


「■■■■■■■■■■■■■」


何か聞こえる

誰の声だ、どんどん近くなっていく

おーい助けてくれ、身動き取れないんだ


「■■■■■■■」


痛みが引いていく

失った血が元に戻っていくのが感じられる

きっとユノか、あんな事があればさすがに見にくるだろう


おそらく傷は全回復したみたいだけどなんか身体が重くて動けない

あれだけ戦ったんだから少しくらい休んでも良いだろう

起き上がるのをやめてそのまま寝ていようとした時


頭が勝手に上がった


そして何か柔らかい物に乗せられた

枕みたいなものだが少し小さい、迷宮の魔物化か?


半分ぼやけた目を開けるとユノがいた


ん?


見なかった事にしようか

ユノは多分俺が寝ていると思っている、違うな、寝かせようとしているのだろう

あんな怪獣と戦ったんだ久し振りに休んでいいと言ってるように見えるが


この状況を知ってしまった俺はどうしろと

自分より小さい子に膝枕、恥ずかしくて死にそうだ

今にも跳ね起きる所だが何故か動かないのだ、裏切ったか俺の体よ


そしてこの時最悪の事態の予測が完了した


起きてるってバレたらどうしよう


それだ、そんな事になってみろ、ひき肉にされてバクテリアさんの餌になる

その前になぶり殺しかもしれん、ここは良い感じに脱出だ

どっかで転がるなり何なりして脱出


その衝撃で起きちゃったテヘペロ


これで行こうさすが俺だ、今日は冴えてる

最善策は見つかった、これより開始する1・2・3


俺が踏ん張っているのを知らずユノは俺の顔に手を置いた

目を覆うように置き、そして優しい手つきで撫でた


うぎぃああああ


また罪を重ねてしまった

どんどん罪状が増えている、早くしないと取り返しのつかない事になる

何とかしないとそろそろ死ぬぞ俺



俺がもがいているとユノが話し始めた


「私ね、ずっと一人だった、貴方に会うまで何百年もの間ずっと一人」


「寂しかった」


口に出すより先に言葉でそれが理解できた

誰かに聞いて欲しかったわけじゃない独り言、だからこそ本当の事なんだろう


一人が辛いのは俺もよく知っている

ほんの少しだけだけど辛かったのにユノはもっともっと長い間一人だった

何か馬鹿みたいだなさっきまでジタバタしてたのが


良いじゃないか甘えたって

できる相手がいるんだから



「でももう寂しく無いよ、貴方がいるから」


元気な声だった、今まで一緒にいて初めて聞いた声

本当のユノはこんな奴なのか

ずっと我慢していたのか、もっと話したかったのか

あんまり時間がなくて訓練の後もすぐ寝ていたからそこまで話をしない


きっと彼女は嬉しかったのか、目の前に人がいる事が

でなければここまで親切にしてくれるはずがない

俺は愚かな人間だから、わかってやれなかった、自分のことで手一杯で考えてやれなくて


だからせめて帰ったらたくさん話そう

これからは色々話すよ、俺の事や向こうの世界のこと

大したことないけどそれで良いんだと思う


「私と会ってくれてありがとう」


俺は塞がれていたから顔は見えないし想像できるほど頭が良くないけど

ただ笑っていると良いなと思った






そろそろヒロインいないといけないな

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