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道がないと辛い


早朝に屋敷を出て迷宮へ案内すると言い出したユノについて行った

瞬間移動くらいできそうにな感じがするけど黙っておこう


会話もなく黙々と進む

誰も通ってないから道がない。よくわからない草木をかき分けて進む

ジャングルを探検している気分だ


ただユノの後ろをついて行ってると


「あなたの世界も戦争ってあったの」


そう突にユノが聞いてきた

後ろ姿だけで顔は見えないからどんな表情や気持ちかなんてわからない

けれども同意を求めているわけではないと感じた


「あったよ、それも沢山」


「辛かったの」


その声は弱々しく感じた


「わからない、まだ生まれてなかったから」


俺は膝を手で押して急な段差を乗り越えた

その先でユノは待っていたが振り向いてはくれない


「戦争ってどう思う、必要だと思う?」


答えに詰まった

そう言う事を聞かれるとは薄々感じていたが見ないふりをしていたから


それでも俺はいつかそこに行かなければならない

きっとそう遠くの話ではない、でなければここまで詰め込んで訓練する必要がなかっただろう

元々戦う奴じゃないから俺の身を案じてくれたのかもしれない


戦い近い

少しずつ近づいてくるタイムリミット

時計の針が動くのが目に見える


ならばちゃんと答えるしかない

欲しい言葉を選ぶのではなく、思った事を言えと思ったからだ


「一般的には悪い事なんだと思う、けどそれが人類が進歩するために必要だって事もわかる」


ユノはずっと黙っていた


「俺が知ってる戦争も科学とか技術、色々な物の発展をもたらしただろうし」


「何とかならないの」


「国際紛争だし、この文明ではそれ以外の解決法が見つからない」


俺の世界も人間同士で人種や民族での差別が未だに残っていた

無くすべきだとみんなが思っているけど、思ってる時点でそれは無理だ


偏見だってあるし、心の問題だ


それが他種族になんてなればもっと過激だ


「最も原始的だけど手っ取り早い解決策」


でもそれで終わって良いはずがない


簡単だし、一番良いのはわかるけど

子供の絵空事だと笑われるかもしれないが


「やっぱり、嫌だな」


「何で」


ユノは不思議そうに聞いてきた

言ってることがごちゃごちゃだからか、それとも俺が未熟だからか

出来るだけ大人になろうと思ったんだけどな


「実はそんなに人間が好きじゃない」


彼らは進化の過程で大事なものを落っことしてきた


「でも良い奴だっていることは知ってる」


「だからその良い奴が酷い目見るのは嫌だ」


勝手だな


結局は自分のことしか考えていない

そんな自分が少しだけ嫌になり頭を掻いた


「それは自分の友達のこと?」


「そうだよ、みんな良い奴だ、俺に構ってくれるほど良い奴だ」


だからこそ

彼らに死んでほしくない

恩があるから、それに友達だから

彼らは戦いに駆り出される、傷ついて戦うのは見たくないが仕方ないのだろう


戦わずに何とかなるに越したことはない


「魔族はフェルシオンに操られているのか」


「多分違うけど、思考が持っていかれることはある」


本能的に敵と認識させられるのか

避けて通れない道か


「俺がフェルシオン倒したらみんな仲良くとは言わないが、少なくともいがみ合わなくていいのか」


「うん」


それなら気が軽くなる

俺一人が頑張ればみんなが戦わずに済む


「ならやる事が増えたな」


戦うしかない

そうしなければいけない


俺にしかできない事で代わりがいない


だから戦うしかないんだ




「そうなら師匠として快く送り出さないと」


ようやくユノはいつもの表情に戻った

ついて行っているうちに迷宮にの入り口にいた


「いってらっしゃい、必ず帰ってきなさい」


「わかってる」



そう言って俺は迷宮へ入った





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