あんまりだ
「悪かったです、すみません」
何が悪いか微塵もわかってないが怒ってる人相手だと謝ったほうがいいのは全国共通だ
誠意だけでも見せて気が晴れるのを待とうか
なので俺は誠意を込めて土下座した
側から見ればさぞ綺麗な事だろうなんせ完璧なフォームだからだ
「あなたは理解してる?これどういう事」
全然怒りがおさまる気配はなく、さらにヒートアップしている気がするのは何故だろう
暑いけど寒いという不思議な体温が出てくる
ユノは俺が割ってきたクルミを片手で握りつぶした
えっ凄い
砕かれたクルミは粉になり俺の目の前に落ちた
「どうもこうも言われた通りに割りました!」
地面に頭をつけながら答える
「違う、こんな風にしてなんていってない」
でも割れっていったじゃん
俺の気持ちも知らずにため息を吐く
ユノは手をかざすとそこに粉になったクルミが集まり元に戻った
「これは魔力を通すと柔らかくなるの、普通じゃ割れない」
「今なんて……」
「魔力を通すとすぐ割れるっていったの」
そうなの?
たしかに魔力がどうこういってた気がするけど
初めからそんなこと知らない人に言うもんじゃないよね
もうちょっとあっても良いと思うんだ、この魔力を感じろとかお前の魔力を解き放つとかさ
「何で教えてくれなかったんですか」
少しだけ顔を上げて聞いてみた
「自分で気づかないと意味ないの」
ユノは腕とか足とか組んで言った
だいぶ難易度高いと思う
考えるな感じろってか、むずいね
「ほんとはこれを渡すはずだったんだけど」
ユノはそう言い地面を叩くと空からものすごい勢いで剣が降ってきた
叩いたところにちょうど突き刺さる
それは結構豪華な装飾のされた剣だった
見るからに強そうな、どっかの偉い人が使うような物だ
「それは」
ユノは見上げている俺を見た後に剣を引き抜いた
それを無造作に持ち上げ
投げた
なんか俺の方に飛んできてね
そう思ってその場から転がって退避した時
ユノは剣に手を向け謎の光を放出した
なんか凄い勢いで放出したエネルギー体はその剣を消しとばした
残ったチリのようなものを俺は眺めていた、
この人いつでも俺を殺せるんじゃね
「なんでそんなことを」
脅しか?お前もこうなるぞ口答えするなってことか
うさぎのみたいに震えてる俺を見て
「必要なくなった」
「今までの予定ではあなたに魔道具を持たせるはずだった」
さっきの剣は魔道具だったのか、いや剣だから魔剣なのか
「エレメントがないから魔力結晶を使うことになるけど仕方ないと思ってた」
ユノは一旦話を止め俺を睨んだ
「まさか自分の魔力に気づけないなんてわかるはずないでしょ」
仕方ないじゃんか、知らないし…
「神ならそれくらいわかってくださいよ」
「言ったでしょ、あなたはイレギュラー 、世界の力も私の力も干渉できないの」
「だから」
ユノは突然立ち上がりなにかを唱えた
何をしているのかわからないがきっと俺にとって悪い事に違いない
なので逃げた、全力で走ったが
「こうする」
ユノの声が聞こえたと同時に俺の手足が紐で結ばれたかのように固定された
走っている最中だったので盛大に転んだ
広げようとするとまるでバネみたいに戻ろうとする
強度はとても強く全力で踏ん張って肩幅くらいしか広がらないのだ
「それから」
訳の分からない重みが乗せられた
体重が倍になったように錯覚するけど地面は何ともないので俺だけが重くなっているのだ
「魔法がダメなのは知ってる、魔道具の使用は自分の魔力より扱いにくい、ここで才能が皆無なら残された道は一つしかないでしょ」
だいたい察しがついた
基本的に剣持って戦うより弓とかの方が強い
モンゴルかどっかの人達だって馬乗って弓がうまかったから強かったんだ
武士だって刀で戦ってると思ってだけど弓ばっか使ってる
結局リーチの差が戦闘能力の差なんだろう
この世界は魔法なんてもんがあるし、弓より射程長いだろう
寝ているところに爆発なんてやられたらひとたまりもない
「物理でゴー」
拳を握り突き出しているユノを は真剣そうだが俺の顔は悲惨な事だ
このままいくと弓構えたハチの巣に突撃なんて事になりそうだ
「話せばわかる、考え直せ」
地面に転がっている俺は顔だけ向けて必死に訴えた
両手ともふさがっているからての代わりに首を横に振りまくった
ユノは見た上で無視して少しずつ近づいてきて口ではなにかを唱えながら歩く姿に戦慄した
これ以上ひどい目には会いたくないんだ、ただでさえ身体の自由がほとんどないし
必死に抵抗するがもう遅い
謎の文様が刻まれていくのに耐えきれなくて叫んだ
「辞めてくださあああ」
肉体改造というき地獄のキャンプが幕を開けた
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