俺登場
ちょっとだけ参上
「えっじゃあ今あいつみんなで合宿に参加してんの」
俺はリビングでテーブルの上に置いてあった物体Xを口に放り込んだ
味しないな
「間違ってはいないな」
ユノは風呂上がりの髪をタオルで拭きながら歩いてきた
そのままコップを手に取り魔法で水を出し飲んだ
「いいなあ、どうせ女の子の出会いとか、何か凄そうな人達からコイツ出来る!って言われてるんでしょ」
そーゆーのが勇者の特権だ
弓使うエルフとか背丈以上の剣使うファンタジー連中に囲まれて高笑いしたい
ここも大概ファンタジーだけど俺が欲しいのはツノからビーム出す恐竜や黄色いタコじゃないんだよ
文句垂れながら物体Xを掴み かじる
やっぱり味しないな
「確かに一人ライバル的な少女が出てくるが大したことないだろ」
有ります
さっきから他人事みたいにゴロゴロしてるけど勇者に何かあったら大変だよ
俺という変な駒入ったから女と駆け落ちなんてしたら大問題だ
「本当に大丈夫何ですか」
あいつがリア充、俺童…
俺が大丈夫じゃない
次会ったら殴ろうと決意してるととんでもない事が聞こえた
「確か魔族が現れた筈だ」
思い出したかのように言うけど
何か今ヤバイ言葉出ませんでした
魔族とか何とか
「8割方無事だ、ただ既に変わっているとすればどっちに転がるか分からない」
真剣に考えている横顔を見ながら残りの2割を引かないように目の前にいる神以外の神に願った
■
「五人一組になって魔物の討伐するから資料に目通しとけよ」
輝樹が訓練場に来てから数日経った
今までやったことといえば。模擬戦や陣形の確認などをしていたが
魔法師との合同訓練もしていたが結果は芳しくなかった
なぜかと言うと
まず、騎士と魔法師が両方とも出張ってくることが今までなかったからだ、毎年とは言わないが他の小国同士はよく小競り合いをするがこの国は大国だ、この世界で5本の指に入るくらい大きい
誰も大国と戦争しようなんて考える輩は早々居ない
訓練はしているし実践的な事は何度もしてきたがやはり経験に勝るものは無い
戦争経験者は大分年老いている。団長くらいの人たちが丁度その世代だ
しかし戦闘職である彼らにとって年齢は重要だ。年老いて動きが鈍ければ格好の的になる
その為戦場経験のある者が少なく隊長格の者でさえ初陣となってしまった
戦場の独特の雰囲気に押しつぶされない為の術を知らない
ただプライドの高い貴族の子弟を放り出して勝てるのか
そこで巨大な魔物と戦わせ少しでも威圧感を知ってほしいと思いながら今回の訓練に埋め込んだ
「分かりました、ですが勝てますか?無駄に散らすのは今後を考えると避けるべき」
輝樹のいう事は正論だ
だがこれでは勝てないと団長は感じた
確かに輝樹は強いし他の騎士も魔法師も一人前と言っていい
しかしやらなければならない時に逃げて欲しくなかったのだ
「それはもう少し強くなってから言え」
団長は手にしていた紙を丸め頭を叩いた
「開始は明日の朝でいいんですよね」
ふらふらと何処かへ行く団長の背後に向かって言った
団長は何も答えず手だけ振った
「あれ輝樹どうしたの」
「なんだティエラか」
横の通路から出てきた彼女に輝樹は内心驚いた
声をかけられるまで気づかなかった
「明日のことを聞いてたんだよ」
「熱心な事ね私なら絶対やんない」
ティエラはめんどくさそうに言う
「そう言えばあの子達、何だっけ?名前思い出せないけどアンタの友達さっき探してた」
「火織と立花だね」
「そうそう、それ」
「何か呼んでたかい?」
ティエラは腕を組んで険しい顔をし思い出そうとするが何も出て来ず
「忘れた、行けば分かるしさっさと行ったら」
手の甲をヒラヒラと振り早く行けと言う
「わかったよ、後名前くらいちゃんと覚えなよ」
「そのうちね」
■
青年はナイフを回転させてから投げた飛んでいったナイフは木に巻きついている蛇を殺した
「ハーネイルは俺が殺る」
「できるの?強いらしいよ」
「俺が失敗した事あったか」
漆黒のコートを着た者が笑う
「そろそろだ」
言い終わる前に枝が揺れる
「全員来たか」
木の上に佇む約百もの影
一人の男がフードを深く被り
「さあ開幕と行こうか」
不敵に笑った
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