始まりの狼煙
文章力が壊滅的にないので、こんなもんかと思って頂けると幸いです
「今回も負け、そして次回も負け」
暗闇の中、少女は石盤に置かれた駒を片付ける
一つ一つ丁寧に箱にしまっている途中に呟いた
「一つ足りない…」
記憶してある数とある数は異なっていたのだ
そして少女は眼を閉じて
今までの筋書きを観た
「変わってる」
変わる筈のない運命が
記されるべき歴史が変わっていた
急いでもう一度駒を確認する
石盤に置きもう一度闘わせた
すると、先程消える筈だった駒が進んだ
残る筈の駒が消えた
戦局は変わった
今まで一度たりともたどり着かなかったマスに進む
彼女はそれがとても嬉しかった
負け続けていた所に勝ち筋ができた
まだ誰も知らない
誰も気づかなかった何者かによって変わった
自身の未来視が捉えられない者がいる
毎回違う未来が見える
その人物を手に入れれば
この戦いに終止符を打てる
彼女は探した
『運命を変える力』
それを持った者が現れるのは今から五百年後の出来事だった
■
とある建物の地下深く
石造りの壁にはカンテラがあり
暗い階段を降りていくと
そこには巨大な円の中に敷き詰められた魔法式
そして薄く光っている魔力結晶がある
「準備はどうだ」
金髪の青年の声が響いた
「この調子なら明々後日にでも」
老魔法使いは答えた
青年は魔法陣を横切り魔力結晶に手を伸ばす
手の甲で二、三度叩き尋ねた
「こんなに必要か?」
「あって損はないでしょう」
それを聞き青年は扉に向かった
「一週間後だ、それまでに万全を期せ」
そう言ってその場を離れた
勇者召喚
彼らはその最終準備に入っていた