出陣じゃぁあ
あれヒロインは?
「行くか」
輝樹は腰に付けた剣帯に剣を通した
椅子の上に置かれたバックパックを担いで扉に向かう
ドアノブに手をかけた時背後に振り向いた
五ヶ月間自身が生活した部屋を見渡し
「行ってきます」
部屋から勢いよく駆けて行った
残された室内には、元いたの学校の制服が掛けられていた
■
輝樹は集合時刻の1時間程前に着いていた
まだほとんどの人は来ていない
「あれ?全員遅刻か」
今起きたのか寝癖がついたまま団長はやってきた
「きっと遅れるのがわかってたので早めに伝えたんじゃないですか、副団長辺りが」
先日の会議もすっぽかし、飲み会以外の大抵の集まりは1時間程遅く来る
それを見越して早めに越させたのだろう
輝樹はこないだの会議で疑問に思ったことを聞いてみた
「団長、月影が来るそうですが大丈夫何ですか?良い噂は聞かないので」
輝樹が聞いた噂は騙し討ちや人質を取る戦法
真っ当な戦士がしてはいけないものばかりだ
「仕方ないだろ、彼奴ら戦争とか専門だからな、汚い所で汚い事してもバチはは当たらんだろ」
「ですが、」
輝樹が言い返そうとすると
「お前が言いたいことは要するに信用だろ、報酬をキッチリ払えば仕事をこなす傭兵集団だ、何考えてんのか分からん奴らよりは絶対に裏切らないから信用しても良い」
目的のある人間の方がよっぽど良い
彼らの目的は金だ
金さえ払えば必ずと言っていいほどやりきる
命欲しさに寝返る輩よりはマシだと団長は言う
「それに、顔が怖くても悪い奴らじゃない」
「顔は怖いんですね」
輝樹が団長と話していると
ひとりの騎士が呼びにきた
「開式をお願いします」
時刻は出発の少し前だろう
集められた訓練場に人は集まりかけていた
壇上に上がるよう指示され団長は騎士について行く
すれ違いざまに
「シャキッとしろ背筋伸ばせ!お前がショボくれてると士気に関わる」
団長は輝樹の背中を叩く
「頑張りますよ」
輝樹は隊長クラスの人に混ざり壇上の後ろに立っていた
副団長による今回の遠征について話があった
「今回、魔族の進行が確認された、恐らく最初に攻められるのは我が国だろう、だから気に食わないクソ共と手を組むのは癪だが仕方がない」
副団長の心の声が漏れている
騎士にとって魔法師は臆病者だと認識されている
後方に待機して魔法を放っただけの部隊だ
それに頭の固いジジババ集団
それは騎士団にも言えるだろう
魔法師からは脳筋バカと言われている
前衛の魔法使いは別にいるがこれは割愛
「仕方がないが、やるしかない、上の方針でもあるらしいから喜んで首を縦に振るざるを得ない」
既に毒を撒き散らしている気がするが仕方ない
「俺たちの強さを見せつけて『引っ込めカス共』と言ってやろうぜ」
後ろからそう突に割り込んだ団長が言う
騎士全員が返事を返した
鼓膜が破れそうな程の声
よっぽど騎士たちの心に響いたのだろう
「さあ行こう!」
およそ三百の騎士が城から出て大通りを通る
遠征会場である国軍基地へ向かった
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