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状況説明

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「まずは水成、あなたの傷を治そう」


泣き止んだ俺にユノは言った

その言葉に俺は自分の腕を見た

膝の部位から千切れた腕が元に戻るのか不安はあるがここで渋ったところで何も起きない

ならばその言葉を信じるしかないだろう


そして俺は一歩踏み出した

先の無い腕をユノに向けた、治るということを信じて


そしてユノが腕に触れると淡い光が出た

優しい光、これがあの時聞いた治癒魔法だと感じた

ゲームとかでは無い現実はこんなにも優しいんだな


感情に浸っていると腕が生えてきた


「これで良しと」


俺は自分の腕を見ていた

指を動かし手首を回す、本物で二度と戻るはずのない腕だ


「す、すげぇ」


頭の悪い言葉しか出てこない


ついでに足も治っていた、腕ほどではなくとも足のダメージも酷かった

あんだけの衝撃を耐えたのだ限界値を超えている


それも昨日の傷以外の昔スポーツしていた頃の古傷まで

これは腕ではなく身体全体の悪いところを直してくれたのだろうか



俺は治っていく腕を見て思い出した


「なぁ、これってどんな怪我でも治せるのか…ですか?例えばこの腕みたいに失った物とか」


俺はとても食いついて聞いた

ウザがられたかもしれなかったが今知りたかったのだ

これの使い道


「治せなかった事はないが、何故だ誰か怪我でもしたか?」


「まあそんな感じです」


ユノは小さくため息を吐いてこっちを見た


「あなたの働き次第」


「じゃあ…」


治してくれる、しっかりとその口から聞いたわけではないが可能性が少しでもあった

俺はそれが嬉しかった、この世界に来て嫌な事ばかりだったけどようやく少しの希望を見つ

けた、



「だったらついて来い」


「話さなければならないことがある」


ユノは言い放ち


振り向いて小道に入って歩き出した

俺はその後を追って歩いく

少しばかり歩いていると


小道はいくつかに分かれていた、

さっき自分が通った時はあったのか?

だったら多分迷ってるだろう、だとしたら道が増えたのか考えていると

ユノは道との間をかき分けて進み始めた


ん?


えっ、そっち


普通なら道を通るとこだろ、なんで中途半端なところを通るのか

少し頭の整理がつかなくなって、どうでもいいことまで考えているととユノがいきなり消えた


どこ行った

ここで置いていかれるとのたれ死ぬだろ

あたりを見回し草木をかき分けるが見当たらない


仕方なく顔を上げるとそこに宙にユノの生首が浮いていた


「ぎゃああ」


とてつもなくホラーな光景に悲鳴をあげた

宙に浮く生首現実では 観るとヤバイな



それのことを察したのかユノが少し不機嫌そうになる


「早く来い、そこの真ん中を通れば来れる」


何?黄泉の国


言われた通りにさっきユノが通った道と同じ所をゆっくり歩く

ここを通っていいのか、進まないといけないが行きたくない


ええい

男は度胸だ


草を踏み潰し走ってジャンプ


どりゃああ


生首ゾーンに飛び込んだ


地面に着地を確認してゆっくり目を開ける



そこには ザ・ファンタジーのような光景

珍妙な生き物達が動き回り鳥なのか恐竜なのかわからないような動物やキメラによく似た沢山の動物の特徴を持つ怪物

美味しくなさそうな果物やカラフルな植物

人間の数倍はある大きさの物体の数々


こっちの方が異世界色強そうだ



ファンタジーの中のファンタジーに興奮してあたりを見回していると

ユノが目の前に現れた


「興奮してる所悪いが」


「そ、そんな事…ないんじゃないか な?」


疑問形になってしまったけど

そんな興奮したり、我を忘れて走り出したりしないよ、断じて


無言で進んでいくユノを見失わないようにして好奇心を満たす

さりげなく周りを見渡しながら歩くのだ

ガン見はしないチラッと見るだけだ誰も不快な思いはしていない


それにしても今まで気にしていなかったけどここって太陽あるな


さっきだって通るまで分からなかったしそういう種類の結界とか張ってんのか

隠された秘境って感じた、ジパング


そんな事を考えながら歩いているとユノから


「着いたぞ」


と言われた


そこにあったのはそこそこ大きめの屋敷が建っていた

この世界観とは場違い感半端ないが置いておこう

誰か立てたのか作りはしっかりしてそうだが年代物だ


「はいってくれ」


では


「おじゃまします」


少し頭を下げて入った




ユノがキッチンらしき場所に行くのを見て

近くにあった椅子に座る、ここはリビングのようなものだろうか

ソファはあるが座るべきではないと思う


何か言われるまで待っていればいいのか


ガチャガチャガチャ


促されるままに座ったけど

自分の師になる人の手伝いをした方がいいのかな

弟子の仕事は身の回りのことは全部って言うし


ガチャガチャガチャ


でもせっかくやろうとしてる所を邪魔するのはなんかダメな気がするし


それより考えると重要な事を見逃していた


それよりも敬語とか使った方が良いかな

失礼な奴だとかで追い出されたらヤバイしな

あんまり得意じゃないんだけどな先輩に使うくらいの砕けた感じのしか出来ない

でも見た目自分より幼いから違和感が……


ガシャン!


何かが割れる音を聴き咄嗟に立ち上がる。するとそこにはコップを落としてあたふたしているユノがいた


俺は見るに絶えずその場に向かった


「貸してください俺がやりますから」


割れた破片をひとつひとつ拾い片付けた

それを彼女は見つめていたが無視しよう


「お茶は俺が入れるので待っててください」


ユノはなんか微妙な表情をしていたが素直に椅子に座った


棚に置いてあるコップを取り

入れるはずだったであろう茶葉を使い入れた


盆の上に二つ乗せテーブルに置いて片方をユノに自分にひとつ置いて向かいの椅子に座る


ユノは置かれたコップをずっと見ていたが再び自分の方を見た


「慣れているのか」


「ええまあ人並みには」


それを聴きユノは雷が落ちたみたいに硬直した


「あの、聞きたいことが山ほどあるんですが」


ずっと固まってる人を見ても面白くないので話を出す

我に返ったユノはゆっくり茶を飲んでから話した


「そ、そうか何から聞きたい」


そうだな

こっちに来てからたいした情報を得られてないし国の情勢とかか魔族がどうとかかな?

王城でのものは大体辻褄が合わないものが多かったし


確か戦う力をくれるって言ってたし魔族関係は何か知ってそうだな

勇者のことも何故か知ってた、俺が勇者の友人だって事も


まずは聞くしか無いな


「まず魔族が何かが知りたいんですが何か知ってますか?」


最初の疑問を言うとユノは顎に手を当て少し考えてから


「魔族はフェルシオンが縛った眷属のひとつ」


フェルシオン?

新しい単語出てきたな

心にメモメモ


「人類の敵って言われたんですが」


俺は城で読んだ歴史書やどっかのお偉いさんの話ではそう言ってた


魔大陸だとかいっぱい戦ったとか


「間違いでは無い、認識上正しいだろう」


「フェルシオンは私と人類そしてお前の敵だ」


たしかに人だしそうかも


「何で魔族が人を襲うかは」


「もともとフェルシオンが魔族だった、彼は神を殺害し力を奪った、そしてその力を使って自分の求めたい世界を作ろうとしている」


「ただの行き過ぎたエゴイズム」


生々しい例えだな

戦争なんてそんなもんだって誰かが言ってた気がする


「フェルシオンを叩けば魔族と戦わなくて良いのか」


ユノは首を横に振った


「魔族の量が奴の力だ倒すに越したことは無い」


だが奪いたく無いな


小さく呟いたその声を俺は聞いてしまった

戦いは非情にならなければいけない


戦いを回避しようと考えた俺はまだ非情になりきれてない

自分に害のある敵

それもあの時襲ってきた狼の魔物のような奴なら戦えるが

人型は果たして剣を向けられるのか


俺は自分の手を見ると少しだけ赤く見えた


その手を握りしめて話に戻る


「魔王について教えてほしい」


「魔王は初めから魔王だったわけじゃない、魔族の中で最も強かった者の事だ」


「魔物の長なのか」


知っている情報と擦り合わせる


「長もやっている、知能は高く強さは十帝には数えられるほどだ」


十帝だってよ

知らない言葉のバーゲンセールだ


「十帝とは何だ?」


「十帝は世界からの祝福を受けた十人の戦士の事だ、ごく一部とはいえ膨大な世界の力を使える

持っているかどうかで戦況が変わるくらいの力」


俺らのとこで言うと核兵器とかが当てはまるだろう

そんなヤベーイのが十人居るって事は

味方にも多いんじゃない


「そうだな、後ここが何処か」


今まで突っ込んで来なかったが当たり前だ

こんな不思議空間奇妙に思はない方が不思議だ


「ここは世界と地上の間世界のエネルギーが集まる場所」


世界との間

さっきいた場所が地上でここが間

つまりここは屋根裏部屋みたいな所なのか


自分なりの考えを伝えると

ちょっと違うが間違ってなくもないと言われた


待てよ

十帝とやらは世界のエネルギーを使えるんだろう

そんでここは屋根裏部屋

すぐ下はエネルギーの採掘場なのか


「後はあるか」




ユノの声に思考を一度停止して聞くことだけ先に聞く事にした

いつまでたっても進まないからな


「どうして俺を連れてきた、勇者の方が手っ取り早いだろう」


疑うわけじゃないが奇妙だ

弱いやつ育てるよりもともと強いものをそだてた方がいい

当たり前だ才能の差だ


「勇者召喚とは何だ、誰が造った」



「そしてあなたは何者だ」


「なぜフェルシオンと戦っている」


大体のことは言った


その問いを聞ければそれで良い


ユノは茶を一口飲んでから


「まずは何故お前かだな、単純にお前以外はダメだったそれだけだ」


随分とあっさりした答えだ

俺以外がダメだった、どういう意味だ

それは暇だったからって理由じゃなければ良いが


「勇者召喚とは異界の人間を呼び出す物だ。だがお前が聞きたいのは違うだろう」


「そうだな」


「答えよう、何故お前たちが呼ばれたかについてだ」


そうだ

いくら輝樹が優秀だからといってもっと他に人はいた

敵と戦わせるなら強いやつを呼べば良い、ボクサーでもプロレスラーでも連れて来いって話だ、俺たちみたいな未熟な学生を連れてくるメリットなんてほとんどない


「それについては資料があるその内容でいいなら」


「構わない」


俺は頷く


「五十代以上の人体に勇者の力は強すぎて内側から破裂。四十代の人体は死亡はしないが暴走甚大な被害が出たため却下。三十代や二十代は勇者の力が馴染みすぎた肉体的な面は成功だったが精神が弱く、利己的な面から同士討ちで死亡 精神面から却下。十代前半までは未成長の為耐えきれないと判断」


俺はそれを黙って聞いていた

何度も誰かを呼んでいたのか

勝手に連れてこられて死んだ彼らに国の人はどうしたのだろう


輝樹が死んだ時

彼らはどうするのだろう

仕方ないとまたやれば良いと思うのだろうか


「そして十代後半人体の適合は完了し、勇者の力の出力も最低だった。暴れてもすぐに始末できる」


「だからお前たちの様な若いのが呼ばれる」


「城にいる人は知っているのか」


「知らないだろう、造られたのも実験したのも七百年前の話だ」


彼らに悪意があったのかはわからないが

貴重な戦力として利用価値があれば生かしてくれるだろうか



ユノは一呼吸置いてから


「なぜ戦っているかだな」


それは聞いておきたい

目的がわからない奴について行っていいことない

いくら強くても肝心な芯がないとただの木偶の坊


「恩人の仇だ、フェルシオンはわたしから仲間も家族もそして師さえも皆殺しにした」


復讐か、いいとは言えないが一番信用できることでもある

確かに身内全員皆殺しは辛い


「だから許せない、必ず奴を引き摺り下ろす」


引き摺り下ろすのか


待て



魔族との戦争がフェルシオンのせいならその一部始終を知っているこいつはなんだ

どこからそんなものが出てくる、どの書物よりも現実的な話それもみてきたような言い振りだ

やはりこいつは何者だ


そんな考察とは裏腹に


「そして、私は神だ」


自分事を神と言い放った


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つまらん 読み難いと感じた方は詳しくご指摘頂けると幸いです

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