第2話
大型連休なんですけど、出かける気力ないです笑
「何がそんなに珍しい?」
キョロキョロ辺りを見回しながら歩く俺に兵隊の1人が話しかけてくる。
確かジャージとか呼ばれてたな。
「いや、見たことも無い景色なんで、何で言うところかなと思って。日本ではなさそうだけど。」
「ニホン?どこにある国だ?」
拠点に帰るのが嬉しいのか穏やかな笑顔のまま聞いてくる。
「え?太平洋に浮かんでる国だぞ?結構有名な国なはずだけど…。」
一瞬笑顔を曇らせたジョージは
「タイヘイヨウ?何か混乱してるのか?樽につけたのがいけなかったか…。」
太平洋も知らない?
どういう事だ?
これ以上何か言うとマズイ雰囲気がする。
「い、いや、なんだか混乱してるみたいだ。昔聞いたおとぎ話とゴチャゴチャしてるのかもしれん。」
無理矢理にゴマかす。
「ふむ。拠点について、少し休んで腹も膨れれば落ち着くかもしれないな。後少しだから頑張ってくれよ。」
再び笑顔に戻ったジョージが励ましてくれる。
日本も太平洋も知らない。
でも、言葉は通じてる。
見た目も俺とそこまで変わりない。
一体どうなってんの?
とりあえず着いて行くしかないのか?
そんな事を考えながら、歩く事およそ15分。
遠くに建物が見えてきた。
「おい、拠点が見えてきたぞ。」
ジョージがウキウキとした声で教えてくれる。
他の兵士達も嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。
「はぁはぁ。あー、あれが拠点ね。」
なんとか返事をひねり出す。
こっちは息が上がってるっつーの。
歩くの早すぎ。
運動不足を感じるぞ。
隊長らしき奴が近づいてくる。
「拠点に着いたら一応隔離させてもらう。あんな場所で倒れていたからな、警戒はさせてくれ。今更だがお前、名前は?」
「はぁはぁ。雄斗だ。」
隔離でもなんでもいいけど休ませてくれー!
「ユウトか。珍しい名前だな。遅くなったが俺はバルトだ。一応この隊の隊長だ。」
「はぁはぁ。よ、よろしく。はぁはぁ。」
喋る余裕ねーから。