プロローグ
前もちょこっとだけ書いてました。
令和になったし、復活してみようと思います。
「ゴメンね。やっぱり友達以上には見れないや。」
彼女から届いたメールにはたったそれだけが書かれていた。
フラれた…。
「またかよ…。せっかく待ち合わせまでこぎつけたのに。」
俺は雄斗。
年齢は35歳だ。
ちょっとポッチャリしてるけど、ちょっとオタクだけど、ちょっとエロいけど、優しいし一途だ。
でも、それだけじゃダメだったみたい。
マッチングアプリで出会った5歳年下の女の子と今日初めて会う予定だった。
写真も交換して、予定も合わせたのに、待ち合わせ直前でさっきのメール。
「もう、意味がわかんねー。」
彼女が乗ってくる予定だった電車が駅に着いたのか、混雑してきた駅前のベンチでそう呟きながらうなだれる俺。
胸がズキズキするこの感じは久しぶりだ。
全く嬉しくはないけど。
「こうしてても仕方ないし、帰るか…。」
立ち上がろうとした時、
「ねーねー、フラれたの?」
後ろから子供ような声で質問された。
振り向きもせず、無言のまま立ち上がり、車に向かう。
「ねーねー、フラれたの?」
また同じ声で同じ事を聞いてくる。
わざわざ着いてきてるよ。
無視する。
「ねーねー、フラれたの?」
さすがにしつこい。
一言注意してやろうと後ろを振り返る。
誰もいない。
「やっぱりフラれたんだね。どこか遠くへ行きたい気分なんじゃない?」
後ろから声がした。
いつのまにか後ろに?
そう思いながら振り返る。
誰もいない。
「遠くへ行きたい?」
また後ろから声がする。
必ず後ろから声がするのはなぜ?
誰が話しかけてる?
「探してないで、答えてよ。」
後ろから聞こえてきた声に答える事にする。
「ああ。行きたいな。」
そう言った。
「やっぱり!消えちゃいたいって思わない?」
何その質問。
今の俺にはピッタリな質問だ。
「ああ。消えたいな。」
答えるとほぼ同時に、目の前が真っ暗になる。
音も聞こえない。
「遠くにも連れてってあげる。そして、消してあげる。」
「え?」
「対価はキミノイノチ。」
俺の意識は途切れた。