最終章
この事が発覚して何週間か経った頃、
新聞にも、テレビにも同じことが書いてあった。
『人工心臓で娘を生かし続けた狂った両親!』
これが全てだった。
あの後、説明を受けた。
サチは既に死んでいた。
小学校の頃に。
原因は両親のけんかに巻き込まれ、あやまって道路に飛び出し、運転手、少女、共に即死。
運転手は救急搬送先で死亡確定。
だが両親はそのサチの遺体を病院には引き渡さずに開発途中の人工心臓を埋め込んだ。
かわりに近所の大型の野良犬が死んだことにした。
それで上手く辻褄が合ってしまった。
そうしてサチは何事もなかったように生きた。
だがそうも上手いこと隠すことが出来ず、高校入学と同時に自身が人工心臓の実験に使われたと知る、サチ。
でも、両親に追及することはなかった。
意味がないと感じたのだろう。
でも実際上手いこといってしまっていた。
これを世に発表すれば、億万長者間違いなしだった。
両親は運に恵まれた。良い意味でも、悪い意味でも。
それ故の犯罪だったと、誰もが言った。
俺は、あの時サチに何をしてやればよかったのだろう。
今でも分からない。
俺は学校をやめ、あてのない旅に出た。
実に四年。
貯金もなくなり、いよいよ何も無くなった。
俺はサチのことだけ考えて四年もの月日を費やした。
でも何も分からなかった。
彼女のことを分かりたかったはずなのに、何も出来ずに死んでいった彼女。
何もしたくない。
ただ、サチに会いたい。
それだけを胸にどこかも分からない海外の樹海に迷い込んでいった。




