三章
「えー明日から夏休みですがだらけることなく、宿題をちゃんとやって、ちょっとそこ話し聞きなさい」
担任の長ったらしい話を聞きながら窓の外を見ていた。
今日は晴天。
蝉もじりじりと鳴いていてようやく夏本番だと感じた。
「では、みなさんよい夏休みを」
担任がそういうと、みんながばらばらと教室を出ていく。
今日遊びに行こうよとか夏休み遊ぼうねとか宿題だるいとかみんな様々な話をしていた。
「コウイチはどうすんのぉ」
「俺は別に何も」
「素っ気ないなぁ」
にやにやと笑うハヤトのもとにハヤトの友達がやってきてハヤトを連れて行ってしまった。
ため息をついて今年の夏は何をしようかと考えた。
近所に図書館があるのでクーラーの利いた部屋で電気代を気にしずに勉強するのもいいなとか
バイトどうしようかとか
髪染め直してピアスの穴増やすのもいいかなとか
いろいろ考えたがやっぱり変わり映えしない夏になるんだろうなと憂鬱になった。
サチの周りは男女問わず人が集まっていて、
一緒に海行こう、プール行こう、ご飯行こうなんてサチを誘う声がひっきりなしに飛び交っていた。
「ごめんね、夏は別荘で過ごすことになっているの」
サチちゃん凄い、別荘とかお金持ちだね、羨ましいな、どこにあるの、
結局何を言っても質問攻めにあうのがオチだ。人気者も大変だなと心でサチを憐れんだ。
「でも七月中は家にいるから、みんなでどこか行けたらいいね」
サチはマドンナスマイルと呼ばれる、俺にとっては偽物の笑顔で周りの人をたしなめた。




