プロローグ
初めての投稿になります。よろしくお願いします。
「地球は生物として生命活動を行なっている」
と、どこかの学者が唱えたのは今から何年前だっただろうか…。
愚かなことに、当時の人々は誰一人として彼の言葉を信じようとはしなかった。
そして数年後、地球にとって異分子である人類は、
人間で言えば白血球のような存在に排除されようとしていた…。
人類滅亡が地球のためになるのだから抵抗せず滅んでしまえ、という意見も当然あったが、
それは人類に感情が備わった時から不可能な選択だったのだろう。
2052年現在、人類は地球の白血球(Guardian of Earth 以後GoE)との戦いに明け暮れていた。
そして俺、御劔疾人は日本統合軍の特殊部隊に所属する兵士であった。数日前までは。
「特佐、本日付で貴官を国際連合日本高等軍事学校への転属を命ずる」
堅苦しい声が日本統合軍特殊部隊司令官であり俺の直属の上官である大島元治
大佐の部屋に響く。そして、低く落ち着き払った声でさらに続ける。
「この命令だが、貴官の戦力としての価値は貴官が最も理解していると思うがとても大きい、
それゆえに上は君を手放したくはないと思っているようでね」
俺は話の意図を理解し、しかし聞き返してしまう。
「それは、自分に本部隊に残れということでしょうか」
待っていたとばかりに答えてくる。
「いや、そうではない。貴官には表向きには学生でいてもらう」
俺は一瞬思考が鈍ったが、すぐにその裏を理解した。
つまりは、俺は学生の身で要請があれば部隊に出頭しなければならない、
いわば首輪をつけられた本当の飼い犬状態なのだ。
しかし、大佐は見事に斜め上の言葉を続けた。
「そして裏向きには君は、秘匿部隊の所属となる」
訳が分からず首をかしげると大佐は面白がっているかのように続ける。
「特殊部隊のさらに上位互換の部隊だ。存在自体が秘密であり公式の部隊であって
部隊名は独立戦闘小隊リーブラだ」
こんな経緯があって、今の俺の肩書きは学生となっている。
しかし、この現代の学生はGoEが現れるより以前の学生とは認識がかなり異なる。
現代の学生は学年制ではなく軍の階級制で、一つの教室で二つの分隊がまとまるといった感じだ。
分隊は一つでおよそ8〜12人となるので、最低16人、最高24人となる。
やはり、と言うべきだろうが先生ではなく教官だ。
そして俺は今、その教官たちの長である五条未咲大尉
がいるこの学校の最上階の廊下を歩いている。
そしてこの廊下の最奥の部屋が目的地だ。
ここから俺の学校生活が始まった。
毎話ごとそうなりますが、投稿は不定期です。読んでくれた方は、気長に待っていただけると幸いです。