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第88話 あの貴族様

「うん」

 銃を構え3階へと上る。

「罠でもかけられてる感じだ」

「マイヤー様先行します」

「頼んだ」

 3階も2階と同じく美術品が飾られ、埃ひとつなく、明かりがつき。なんと言うか。

「もぬけの殻だよなぁ」

「………タナカ気を抜かない」

「まあそうなんだけどさあ」

 敵の城にいるのだ、気を抜いていけないのはわかるのだがなにもないとどうしても抜けてしまう。なんとなくだが美術館を眺めている気分になるのだ。2階もそんな感じで通り抜け、唯一使ったのは突入時に使ったグレネードだけだ。そんな気だるい感じで進んでいっていた。

「タナカ気を抜いてんじゃねえよ」

「はぁわかってはいるんだけどな」

 たしなめられている理由もわかるが、気合いが入らない、だがまあ前向きに考えれば、目的地まで楽にたどり着けそうだし、ラスボスの前なんて物は雑魚は出てこないものだと思う。だからそれには驚いた。

「マイヤー様」

 先行していた全身鎧が。

「タナカさんっ」

「えっ」

「タナカあの人誰だっけ」

「………たしかファクラー」

「そうですよ、あの行商人のファクラーですよ、皆さん助けに来てくれたんですね」

 5人ほどとらえられていた人を連れてきて、その上で顔見知りがいたのだ。

「いや、助けに来たわけで」

「そうかもしれませんが助かりました」

 本当は喜ばしいことなのかもしれないが、ここまで来るともううんくさ過ぎる。

「彼らは」

「はっ3階の牢にとらえられておりました」

「なら外に」

「あの貴族様」

 マイヤーは彼らを外に出そうとする、だがそれを牢にとらわれていた人の代表のようにファクラーが止める。

「我々の仲間がまだ5階に連れていかれ帰ってこないのです」

「そうか、だが」

 正直そう言われつれていくようなやつはいない。

「なのでつれていってもらえないでしょうか」

「無理だ、おいっ」

「それにここの者たちが話していたのですが、3階に入ると外に出られなくなるとか」

 もたらされる罠の情報。

「おいっ」

「っ、確認してきます」

「タナカどうする」

「どうするもこうするも結果待ちだろう」

 そう結果待ちなのだ。その結果が永遠と帰ってこなくても。

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