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第81話 物理的に首が飛んでしまうかもしれません

 追いかけるだけなのはよかったのだが。

「いやなんでさ」

 寝袋に寝かしつかされた上に、腕には輸血やら薬やらを流し込まれ、馬車に乗り移動している。

「さすがに背負われて行くのは認められません」

「いやそれはいいんですけど、ここ馬車通れないはずでしたよね」

 そう、自分達だけで通ったときはなかったはずの道を使い、薬やら食糧やら弾やらの補給品と共に移動しているのだ。

「道を作るのは軍事行動では最優先ですので」

「いや早すぎる」

「魔術で無理矢理やったので」

 異世界における力業を使ったようだ、それによって最短ルートで物資やら兵員やらを運べるようにするらしい。今回馬車に乗っているのは自分とリズ、エレナにエレインさんだ。

「ついでに聞きますがこの馬車は」

「マイヤー様が開発した装甲馬車です、この馬車は」

 エレインさんの話が続くがチート持ち様様だ、この馬車はすべて金属製でかつエアコンのようなものを備え付けた優れものだ。更に言うとその装甲馬車も様々なタイプがあるようで、医療用やら軽装甲型、重装甲型、兵員輸送型、物資輸送型等々あるらしいが民間に流す気は更々ないらしく、コスト度外視らしい。

「もういいです、それよりもなぜこれだけの馬車が」

「王族直属の部隊が向かってきているらしく、露払いの為ですね」

「はぁ」

 リズを見る。リズは困ったような顔をして。

「王族直属部隊と言えば最精鋭のはずなんですが」

「これを漏らせばあなた方で言えども処刑されてしまう恐れがありますが、あの部隊は本当の意味での最精鋭部隊と王族貴族の箔付け部隊に別れており、先の最精鋭部隊は消耗し再訓練中でして箔付け部隊しか来ていないのです」

 最悪そうだ。

「マイヤー様は少しでも多くの最精鋭部隊を連れていこうとしたのですが今回の件を王族の方々は軽く見られているらしく、マイヤー様にかなり自由な裁量を与えて終わりました」

「それは」

「失敗すればマイヤー様は終わりです」

 すごく重くなる。

「マイヤー様は気丈に振る舞っておりますが領地の者すら気を使われており」

「待ったあいつって評価どうなの」

「あいつ呼ばわりすると殴りかかられるほどですね、ただ一点恋愛対象がティアナ様しかおられないのが問題なのですが」

「へぇ」

 マイヤーは優秀らしい、もしかしたらチートに頼っているのかもしれないが詳しいことは聞きようがないから仕方ない。

「更に言えばティアナ様もマイヤー様を兄としか見ておらず跡継ぎ問題が」

「それはそっちで解決してください」

 跡継ぎとか冒険者には本当に関係ないし、例えマイヤーの話であっても貴族の問題を抱えたくはない。そんな脇道にそれた話を戻す。

「それで終わりと言いますのは、箔付け部隊には有名どころの貴族や王族の方がおられるので彼らに傷をつけないで手柄を立てさせないといけないんです」

「うわぁ」

「今回に限りましては死んでも構わないと言う建前は聞けたようですが、下手を打てば物理的に首が飛んでしまうかもしれません」

 最悪すぎだ。

「そのタイムリミットが後1週間、その為にマイヤー様はつてを頼ったのですが物資支援のみで兵力は独自なのでこれだけの馬車があるのです」

「待った物資だけだって言うのは」

「手を貸してくれそうな貴族は大分遠くの領地でして、近くの貴族は少し前に起こった龍退場の功績に嫉妬しており。そんな中でも兵力を出してくださったのユーリ様なのですが」

「この件にタナカさんや私たちの罰則は」

「さすがにありませんよ、安心してください」

 馬車の中の空気が重くなりながら進んでいく。

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