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第78話 へっ

「さて、あなたが気を失った後ですが、皆さん大慌てでしたね」

「で、しょうね」

 わずかに抵抗するがなにも変わらない。

「そこにいるリズさんなんて」

「あの言わないでください」

「そうですか」

 なにがあったのだろうか、まあそんなことはどうでもいい。

「それもどうでもいいんだが、手紙ってなんだ」

「ああ手紙ですか、マイヤー様からあなた宛にとのことで預かってます」

 そう言われ手紙、といっても1枚の紙が渡される。文章はすべて日本語だ。

「中身は」

「読むわけがありません」

「ですよね」

 紙の文章に目をつける。


 タナカへ

 この手紙を読んでると言うことは、ある程度の事情を把握した後だと思う。なのでこの手紙にはお前のナイフについてと選択肢について書いておこうと思う。

 まずナイフについてだが、そのナイフは神殺しのナイフと言う銘が与えられたナイフだ。特筆すべき効果としては神の力を持つもの、要はチート持ちのことだと思われるがそれに対して問答無用で一定のダメージを与えられる。更に言えばお前由来の魔力であるならそのナイフは自動的に戦闘を行うようになるが、魔力がないお前にはそんなに関係あるまい。だがそのナイフの弱点としては元々のナイフがいいものではなかったのだろう与えられるダメージと言うのが少なすぎると言う点だ。それ以外は折れず曲がらず切れ味すら落ちない素晴らしい品なんだがな。

 さてと次はお前がとれる選択肢は2つ。1つはそこで帰ってくるまで体を休めることだ。アルフ達に関しては負け戦になろうと優先的に撤退させるから安心してくれ。そして2つめは。


「覚悟はできてる、武器を用意したい」

「タナカさん急にどうしたんですか」

「はいはい、わかりましたよ。本当なら休んでいてもらいたいのですが」

「それで止まれる訳がない、リズ肩を貸してくれ」

 体はおきあげる、ひどく重い。こんなのでは役に立たないかもしれない、だけどいく。仲間のために。

「いやです」

「頼む」

「いやです」

「たの」

「いやです、連れていったらタナカさん今度こそ死んでしまいます」

 リズの声が涙声になる。

「いやなんです、タナカさんが傷つくのを見るのは」

 リズがつかみかかる。

「タナカさんが無茶してるのを見るのは」

 手が震えている。

「いつもいつも危ないことしているのを見るのは」

 リズの気持ちはわかる、わかるのだが。

「それでもいかないと」

「…………………………………わかりましたけど」

 つかんだ手を離す。

「タナカさんはおぶられていてください」

「へっ」

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