表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/95

第73話 ここで

 嘘だろうとユーリが呟いたが、仕方ないのだ戦闘能力がほぼないに等しい自分にはこれしかって。

「ブーストっ」

 横からの衝撃と金属音、そしてちらりと見える敵とマイヤーが斬り合っている様子。あそこまでやってなお生きていたのだ。とそんなことを思いながらどこかの茂みに頭から突っ込む。

「       」

 なにかが口から漏れる。声にもならず音にもならないなにかだ。身体中が痛い。痛い、いたい、イタイ。どこか折れているかもしれない。こんなときどこどこが折れてやがるとか言えればかっこいいのかもしれないがそんな余裕はなく、そんなしょうもないことを考えることで痛みをまぎらわす事しかできない。目の前が赤い。もしかしたら頭から血が流れているのかもしれない。だがそんなことすらわからない。

「はははははははっひとり脱落ですか」

 そんな痛みをこらえるなか、そんな声が聞こえてくる。あの吸血鬼の声だ。吸血鬼の声がすると言うことは近くにイリア達がいる。いるのだ。いるんだ。その思いを頭に思い浮かべる、痛みをその思いでまぎらわす、体を動かす活力にその思いを使う。重くなった右手を動かし、空になったマガジンを排出。左手で新しいマガジンを取り出す。体が痛む、視界は赤い。そこら中から様々な音が聞こえる。心臓の音がひどい。

「ですが後2人の内1人は仲間の行動に絶望してるみたいですね」

 敵は誰かに伝えるように大きな声で話しかけてくる、多分もしかすると自分が生きていると知っているのかもしれない。それならまだチャンスはある。左手を動かし新しいマガジンを装填。そして無理矢理に新しい弾をチャンバーにこめ、発射できるようにする。

「残りの1人はそれを守りながら斬り合っているので、ご自慢の鎧がボロボロですよ」

 体力的にも意識的にも最後のチャンスだ、これで仕留めきるしか活路はない。だから体を動かし、まだ生きてることを証明する。

「はははははははっやはりまだ生きてましたか」

 やはりばれていた。ばれていたなら隙はある、隙しかない。そう思い込まなければならない。ならないのだ、生き残るためにも仲間のためにも。だから最後の力を振り絞り。

「ここでヴッ」

 もうためらいはない、目の前に現れた敵の口に銃口を突っ込む、同じ手だ、これしか格上に勝つ手段はない。だからまたためらいなくぶっ放つために引き金を引いた。そしてそこで意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ