第6話 ないと思う
エレナの剣を買い、ギルドへと戻る。戦闘の用意は整ったためだ。そのために大きな道を通りながら話をする。
「けどさ、戦闘ってあるの」
「………ないと思う」
「だよね」
と言うのも、この世界は基本平和だ。モンスターがいたり、魔王がいたり、魔法があったりファンタジーな世界なのだが、モンスターはまず見かけないし、魔王はともかく、魔法は戦闘でなければとんでこないので死と言うものは程遠いのだが。奴隷商人なんかがいたり黒い所もあるようなのだがそういうのとはそんなに遭遇していない。基本的にそういったものと関わりありそうな貴族などに知り合いは。
「あっ」
豪華そうな服を着た少年がこちらを見る。誰だったけかと思うのだがあんまりかかわりあいたくないような貴族のような感じがする。
「おまえら」
「ユーリ様どうなさいましたか」
「あっいやなんでもないよリタ」
「それならいいのですが」
「そうよユーリ様あんな冒険者なんて」
その少年、いやまだ子供は2人の美女を連れて。
「おうタナカ久しぶり」
ややこしいのが来た。
「マイヤーこいつを知っているのか」
「これはこれはユーリ様お久しぶりです」
さらに来たのはマイヤー、この世界では貴族であるチート持ち。元の名前はタカハシ、その後ろにいるのは彼の妹だ。
「初めましてユーリ様」
「ああ、貴方は」
「私はマイヤーの妹のティアナです、どうかよろしく」
「妹か」
彼女の妹ティアナ、元の名前はユキ、正真正銘のタカハシの妹らしい。
「タナカさんお久しぶりです」
「ああ、ひさしぶり」
「この後時間ってありますか」
「ティアナ」
「わかったよ、お兄ちゃん」
「悪いねタナカこの後話があるんだ」
「話って」
「いやぁなぁ」
「そんなことよりも、なぜこんな冒険者崩れが龍殺しのマイヤーなんかと」
「いやぁこいつらは命の恩人ですし、そういうユーリ様は彼らをなぜ知っているのですか、彼らはそこまですぐれた冒険者ではありませんが」
「こいつらに剣を少しな、あまり役には立たなかったが」
「そうだったのですか」
そこまで聞いて思い出す、彼ユーリもチート持ちだ。あまり関わり合いたくない。
「それでは自分たちはここで」
そう切り出して離れようとする。のだが。
「いや少し話がしたい、だめか」
そうマイヤーに止められる。
「いや別に」
「時間はあるだろう」
「おいマイヤー」
「会議は明日でしょ、問題はありませんよ。それじゃあタナカ、少し用事を済ますからどこにいるかだけ教えてくれ」
「ギルドにいる」
「わかった、じゃあ後でティアナに行ってもらうから待っててくれよ」