第63話 ありがとう
アルフは荷物をまとめ始め、他のメンバーはマリアさんにつきっきりだ。
「おいタナカそっちの荷物寄越せ」
「なあ行くのか」
「あったり前だろ、マリねぇを救えるんだ」
そういいながら、体中にベルトを巻き剣やらポーションなんかをこれでもかと付けていく。
「ひとりで行くのか」
「むしろ一人でも行くつもりだ」
「自殺でもする気かよ」
自分達はヒーローでなければ勇者でもないのだ、ひとりでいやパーティーで行っても特になにもできない。
「前の時もなんとかなっただろ」
「前と今回は違う、今回は自分達だけなんだぞ。他に助けてくれる人たちはいない、居ないんだ」
「けどよ、逃げられねえだろ。目の前に救う手段があった、待っていられる時間もないならよ行くしかねぇだろ」
「くそっ」
アルフの目を決意を固めて、止めることはできそうにない。
「よし準備は終わった」
そうこうしている内にアルフの準備が終わる。それでも止めるしかない。
「なあ考え直さないか」
「直す気なんかない、と言うかそれ以上止めるならタナカお前でも」
「アル君」
「マリねぇ」
隣の部屋にいたはずのマリアさんが出てくる。
「私も行く」
「マリねぇは待っててくれよ」
「アル君方向音痴だからね、私もいかないと」
そんなマリアさんは腰に鞄を下げている。
「まぁアルフだしね」
「………しょうがない」
イリアとメリベルも出てくるが2人とも完全装備だ。
「イリア、メリベル」
「2人とも」
「タナカごめん」
「………私たちも行く」
その後ろからリズが。
「これ道中で食べてください」
「ありがとね」
「お昼の分です」
「ねぇこれちょっと」
「いいんだよこれで」
そう言ってこっちをみる。
「行ってくるよ」
そうしてアルフたち4人が出ていく。
「タナカさん」
リズがこっちをみる。
「仕方ないだろ」
そういいながら、手を動かす。
「イリアが弾をバラで買ってきたから込めないと使えないんだよ。ちょっとくらい待っててくれてもよかったじゃん、これでも大急ぎでやってるんだからさ」
「タナカさん手伝います」
「……………ありがとう」




