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第54話 だから邪道にやる

「………………………………………」

「テイクオフ、テイクオフだって。ぷっ」

「……………………………」

 飛んでいくための道具であったレールガン擬きは偽物で、ただ鉄の部分がバチバチ言うだけの代物だったらしい。だから。

「穴に入りたい」

「あはははははははははははははははははははははっ」

「笑いすぎたろ」

 ここまで笑われると怒りがわいてくる。

「ごめん、ごめん」

「テイクオフ」

「ぷっ」

「おい」

 笑いが収まるまで、イリアたちがいる部屋に戻るまでの時間がかかった。

「タナカおか、どうしたの」

「タナカさん怒ってます」

「………リサ先輩」

「いやいやこの男がどれくらい信用できるか確かめたんだけど、ぷっ」

 話が進まなくなるので理由を話す、一言で言えば空を飛ぼうとして失敗したと言うことなのだが。そのやり取りをしていると、落ち着いたリサさんが会話に混ざる。

「やっと落ち着いた、でアルフがいたとされる村の跡地にいきたいのよね」

「………そう」

「なら私自家製の転送陣でも使う、これならどんなところでもひとっ飛び」

 そう言って紙のようなものに書かれた魔術陣を見せてくるのだが、問題がある自分はそれで飛べないのだ。だからレールガンに期待していたのだが。

「なに、そのムリって顔は私に任せておきなさい迷惑かけたお返しにムリも通してやるんだから」

 そう言って用意を始める。と言ってもそれを敷くだけなのだが。

「で、タナカあなたどこ、いえいつから来たの」

「いつからって」

「見た目からモンゴロイド系列だから、日本とかそれに類するところなんでしょ」

「タナカさんモンゴロイドって」

「人種と言うかなんと言うか」

「そういう人種の種族よ、この国の人は基本的にはコーカソイドね。それは置いといていつから」

「いつからってまあ」

 とここに来た日付を思い出し答える、一応2000年代なのだが。

「私より200年ほど前か、ってことはランダムで集められる、いや」

「でこの質問になにか意味は」

「ないわよ、ただの興味よ。私がいたところはそういった興味を持つ余裕もなかったから」

「どんな感じになってるんだよ」

「文明は崩壊していたわね」

「なんで」

「さぁこれはお母さんに聞いた話だったし、まぁそんなことがあったからこっちに来て学ぶのが楽しいのよ。で話は戻るけど転送陣って人の体内に宿してる魔力に働きかけ分解、送り先の陣の上で再構築してるようなのよ」

「へぇ」

 イリアが驚いている。

「普通に学んでると知らないことなんだけどね」

「………………………で、それで」

「だから通常の手段でタナカくんを転送するのはムリね」

「ムリなのか」

「だから邪道にやる」

 そう言いながら、ナイフを用意する。

「よくあるアイテムボックスと経験値に関して調べてたんだけど、アイテムボックスに関しては生きていない物なら何でも入れられて、経験値に関しては魂を溜め込んでいるようなのね」

 言いたいことがわかる気がする。

「だから魂を抜き取り私の体に保存して、体をアイテムボックスに入れて私が移動、向こうでもとに戻す」

「…………………うわぁ」

「………それって可能なの」

「半々ぐらい」

「危ないじゃない」

 イリアがあせる。

「それ以外の方法は」

「ゆっくりと時間をかければ」

「タナカさんゆっくりいきましょうよ」

 ゆっくり行きたいのだが、時間をかけてもいいことがないのならやってみても。

「半々って言うのは」

「ラットの実験でね、50回くらいやったんだけど30回ほど成功しているわ。ただ人の魂となるとどうなるかわからないから確率下げて半々くらい」

 ラットだと確率60%、人だと不明。わかっていたら嫌な感じもするのだが。

「他の手段だと」

「ここ孤島だから手段は多くないわよ」

「船かワイバーンかだけど、さすがにワイバーンは使わせてもらえないかもしれないわ」

「となると船は」

「………休暇の時に要望があれば出るくらい」

「ならやるしかないのか」

「やってくれるのならこれとこれ書いて」

 そう言って契約書と白紙の紙を渡される。契約書はなにか問題が起きても訴えないことというようなありきたりなことが書いてあるのでわかるのだが。

「こっちは」

「そっちは誰にも見せないで書いておいて、この今のタナカくんと転送後のタナカくんが一緒とは限らないから」

 それだけを聞くとかなり怖いがアルフがいるかもしれないところに行くにはやるしかない。そう思いながら書く。

「書いたわね」

「でどうす」

 ればいい、と聞こうと思ったときにはすでに刺されていた。

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