第50話 危険だけどやるしかないじゃん
目が覚めると白い天井だった。
「タナカ、目が覚めた」
「ここは」
「………保健室」
イリアとメリベルがそこにいた。
「ってメリベル」
「………もう大丈夫」
メリベルの首元には例の首輪はなくなった。それと。
「そのタナカくん」
リサさんがそこにいた。
「ごめんなさい」
「いや、いいんだけど」
急に謝られるのだが、謝られるより情報がほしい。
「あなたもあいつらと一緒だと思って」
「あいつらって」
「勇者って呼ばれてることが決まってる存在かな」
めんどくさい言い回しだが、言いたいことは何となくわかる。要は勇者になるスペックを持った存在であるチート持ちだ。まあこの世界の勇者もいるかもしれないが、確率としてはチート持ちの方が多いのだろう。
「あいつら私を見るたびに襲ってきて」
「そうなのか」
深くは聞かない、やぶから蛇を出したくないからだ。
「だからあいつらの仲間をあいつらにぶつけてやろうって思ったのよ」
「まぁそこはいいや」
そういった話は聞きたくない、正直に言うとめんどくさい。
「で魔王、いや吸血鬼に関する情報は」
大事なのはそこなのだ、それを知るためにここまで来たのだから。
「一応聞いておくけどメリベルとかに危険はないよね」
「ないといいんだけど」
「ってあなたに聞いても無駄か、あなたメリベルより弱いし」
そう言って笑われる。
「………リサ先輩」
「ごめん、私より弱い転生者に初めて会って。話はちょっと離れるけどあなたどんなチートもらったの」
「そう言うのは自分から話すものでは」
ちょっと気になった。
「そうね、私は魔力チートと魔道具製造のチートね」
「自分は何も貰ってない」
「えっ」
「ついでに言っとくと来たときは死んでなかったから転送者だ」
「うそなら生身で」
「一応チート臭い装備はあるけど、これ装備しようと思えば誰でも装備できるし」
装備しているスライム鎧、遺跡で発見、と言うより譲渡されたものなので一応チート装備ではない。まあスライムが普通のチート持ちに負けないクラスの戦闘能力であるのでチートかもしれないが。ついでに効力としては、衝撃吸収に形状変化、それに薬物、といっても麻酔ぐらいだが、の注入位なので魔法がある世界なら再現されているかもしれないが。
「なのにあんな危険なことを」
「危険だけどやるしかないじゃん」
と言うかやらなければやらないで同じように大ケガを負っていたかもしれない。
「そうなんだ」
「で話を戻していいか」
「ちょっと待って資料持ってくるから」
そういうとリサさんは出ていく。
「そういえばタナカ聞きたいんだけどチートって何」
「えっと前にはなさなかったっけ」
「前にタナカは何も持ってないのは聞いたけどそもそも何ってことよ」
「話すと長くなるから先に聞きたいけど、リズとエレナは」
「………2人は料理中」
「で怪我の具合は」
それが気になっていた。
「折れたわけじゃないから安静にしてたら治るって言ってたわ」
「そうか」
こう言うときこの体は、魔力なしの体は、きついポーションが聞かないのだ。だから怪我は時間をかけて治すしかない。
「で」
「まあずるだな、色々な理由で世界をわたるんだけど、大抵な理由が不運にも死んでしまうだ」
「………死んだ人が来てるの」
「他の理由もあるかもしれないけど大抵はこれだと思う、で話を戻すけどそう言った相手を不憫に思った神とかが他の世界に送るときに無理矢理そうなるようにしたのがチート」
「ならリサ先輩の場合は」
「魔力が膨大になるようしてもらったんでしょ、自分を送った存在に言わせるとそう言った本人を変えるのが1番簡単らしいけど、詳しいことは」
「そうなんだ」
と話終わった頃にリズとエレナ、それとリサさんが入ってきた。




