第38話えっ逆じゃなくて
揺られ続けること数時間、全員の気持ち悪さが収まってくると今度は寒さが襲いかかってくる。元々寒かったのだが、気持ち悪さが収まった為に、意識するようになったが正しいかもしれない。と言うわけで5人で身を寄せながら、牢の中に入れられた毛布の中に被りながら寒さをこらえていると、揺れているなかでもわかるくらい強く、浮遊感、いや落下感を味わう。
「うわっ」
「………落ちてる」
「落ちてますよタナカさん」
牢の中にいるから大丈夫だろうとは思うのだが、落ちるという感覚は怖く、恐怖を煽る。だがその恐怖もすぐに終わる。ドンと言う音と共に、落下感がなくなり、また揺れも収まる。それと引き換えに辺りが騒がしくなる。多分だがついたのだろう。そう思える理由としては、揺れなくなったことと、鎖がほどかれていくような音が聞こえるためだ。鎖が少しずつ外れていく。
「やっとついたのね」
「………ついたみたい」
「ここが学園ですか、始めてきました」
「へぇ」
鎖の隙間から外をみると、外には大きな洋風の城が建っており、時おり大きな音が聞こえると言う具合だ。始めてみるのだが、大体の異世界学園物における学園にそっくりなために、初めてのところに来たみたいという感覚は薄かった。なんというかテレビなどでよく特集される観光スポットに来たときのような感覚だ、中に入ったりしたら別なのかもしれないが、あまり驚くこともせずに眺めると金属音がやむ。いつの間にか鎖がほどき終わっていたようだ。牢の扉が開く。座り続けていた足をほぐすように伸ばし、ゆっくりと立ち上がる。外には2人の男女がいた。2人ともローブを着ている。
「久しぶりねイリア」
そう男の方が話しかけてくる。オカマとかそう言った人なんだと検討をつけ、話始めたイリアをほおっておき、メリベルに話しかける。
「ここ学園」
「………そう、であの人がイリア学園長とその奥さんのレリア副学園長」
そう言って女性の方を学園長とよび、男性の方を副学園長と呼んだ。
「えっ逆じゃなくて」
「………なるほど、タナカ黙っといた方がいい」
「わかったけど何で」
「………あの2人の魔術はこの世界でも有数の腕前、破れる相手もそれくらいになる」
「ああ」
「………そしたらこの学園に放り込まれることになる」
「なるほど」
要するにあの2人はああやって相手の力量を図っているのだろう。ついでに言うとなぜ自分がわかったかと言うと、多分魔力で脳とか視覚なんかの認識を変えてしまっていると思うのだが、魔力を関知できない自分には効果がない。だから違和感を覚える光景を見せつけられているのだろう。
「まあいいわ、あなた方の部屋を用意しといてあるからその部屋を使いなさい」
と男、イリアの話だとお父さんと思われる男性についていくことで牢から出て、学園の中へと入っていった。




