第34話 自由すぎんだろ
魔術ギルドにてテーブルに座らされ、紅茶のようなものにお菓子が出される。
「はぁ」
イリアがため息をつく。その理由はなんとなくわかる、このギルドの職員が彼女の後ろについているのだ。それもなんだかかなり心配そうに。
「でこの扱いは」
彼女が自分のギルド証明書と思われる指輪を見せた後、状況は変わった、ギルド急にあわただしくなり、職員はどこかに連絡を取り出す。それを待っている間に座るように勧められ、今に至る。
「メリベルごめん、タナカたちに説明してもらっていい」
「いやその前にエレナは」
「………エレナは宿にいるし、お金も渡してあるから気にしなくていい」
「それならいいんだけど」
昨日まで牢屋にいた自分にはわからないが大丈夫だといわれるなら、大丈夫なのだろう。それに彼女はこの世界の人だ、時間の潰し方ぐらいわかってるだろう。
「まぁ、で」
「………イリアは学園の現理事長の娘」
「……なるほど」
それでこの高待遇なのだろう。いろいろ聞きたいことがあるのだが、と言うような目でイリアを見ると観念したかのように話し始める。
「はぁ、まぁ納得はしないだろうけど、話すわ」
「助かる」
「タナカはこの世界の魔術に関してはさっぱりよね」
「まぁね」
何せ魔術は使えないのだから、魔術関連の知識はさっぱりだし、興味はあったが生きるのにそれなりに必死だったので調べようと思わなかった。
「タナカ、今の考えは魔力は血に宿っているらしいのよ」
「血に」
「魔物とかは別かもしれないけど、人ではね」
それがどうやってわかったとかは興味はないので話を続ける。さすがに黒い話は出てこないと思うが。
「前にも話したかもしれないけどね、私のおじいちゃんその、ね」
「ああ」
彼女のおじいちゃんは、転生者で元勇者、さらに言えば元魔王のササキと言う男だ。
「それにおばあちゃんも、元奴隷だけどエルフだったから」
「なるほど」
転生者のササキは魔力チートで、おばあちゃんの方は魔法の適性が高いとされているエルフのため、血に魔力が宿るのなら。
「お父さんは天才って呼ばれてた」
「………1度会ったけどすごかった」
「わたしは魔術師に知り合いは」
「リズには聞いてなかったけど、で」
「天才だった私の父は学園に通いだしたんだけど、1年で卒業」
「何年制だよ」
「………規定以上なら1日で卒業できる」
「ふつうは6年ね」
「すごかったんだな」
「ええ、その1年の大半を1人の女性に費やしてなければ」
「……………」
「1年いたのも一緒の学園生活を送りたかったて言われたし」
「すごいな」
「それはいいとして、卒業した後今度は先生と生徒の関係になりたいって言って、教師に」
「自由すぎんだろ」
「そしてそのまま理事に」
「飛んだな」
「私もこのあたりはしょうもないからって飛ばされてて」
「まぁいいかそれで」
「………私が数少ない友達だった」
「あんまり話したくないんだ」
「いい思い出もあるんだけどね」
「ならいいや、聞きたいことは聞けたし」
まぁこれで図書庫を使用。
「大変申し訳ございません、イリア様明日までお待ちいただいても」
「わかりました」




