第2話 もう駄目でしょう
3話目です
そう言われてまずしたのは、イリアの方を見ると言う事だった。
「どうしたのタナカ」
「いや」
彼女は今言われた魔王かは知らないが、前魔王の孫だ。前魔王といってもただの転生者でかつ元勇者だ。そんなことを表だっていうわけにもいかないので口を閉じる。そんなことは見ず知らず、ミーヤさんが話しかけてくる。
「あのタナカさんさっきの話」
「聞いてましたよ」
「ですよね、あのこんなこと頼むのはどうかなって思うんですけど黙っておいてもらえませんか」
「はぁ」
「魔王の復活なんてことが知られたら」
と叫んでしまう。
「あ」
「………………もう駄目でしょう」
あきらめるしかなさそうだ、と言っても自分たち以外いないので問題はないと思うが。
「魔王の復活だと」
「えっ嘘」
「………魔王」
「えっと、魔王って」
「説明をお願いします」
「………………はい」
と言う事なので全員をテーブルに集めしぶしぶと言う様子でミーヤさんが今さっき来た手紙を見ながら説明を始めた。
「説明と言われても、秘密でお願いしますね」
「それはまあ」
「と言いましても魔王復活したことぐらいとその魔王が吸血鬼の始祖と名乗ってるくらいですね、それによって近隣の国の騎士団が向かったのですが返り討ちに会い、その国をのっとったとかで」
「吸血鬼だと」
アルフが何か言いたそうに反応している。
「でそれどこで」
「ですが転送陣を使わないといけないところなので大分遠いですけどね、ですが騎士団が動けなくなりギルドの仕事が増えそうなので人数増員するっていう連絡でした」
転送陣と言うのは、各国を直通でつなぐ手段なのだが、コストが高く、その上決まったところにしか行けないし、場所も動かせないので問題はないだろう。
「仕事が増えるって」
「騎士団も警戒に当たる人数を増やすと思われるので騎士団がしていた仕事の一部がこちらに回ってくるっていうのが上の考えみたいですね」
と言う事は仕事が見つかりやすくなる。
「そんなことはどこでもいい、それより場所は」
「さすがに場所までは、これも本部からですし」
「けど遠いんだろう」
「みたいですね」
「そうか」
「アルフさんどうかしましたか」
「いやなんでもない、個人的な問題。タナカ先戻ってる」
「えっああ」
そういってアルフはギルドを出て行った。
「ねえ魔王は吸血鬼の始祖って言ったのよね」
「そうですが」
「そ」
「………よかったね」
まぁ魔王が遠くで復活しただけで仕事が増えそうなだけだとこの時には思っていた。