第28話 技ですか
「しかしよく無事でしたね」
「ええ本当に」
自分たちが囮となったことで無事に村についたらしいのだが、そこで雇える護衛もなく、待っていたらしい。
「つまり待っていてくれたと」
「そうなりますね」
そして合流した後持ってきてもらった食事を食べ、ファクラーさんが逗留している、村へと向かい、今は宿の中だ。そこで再開を祝して食事と言いたかったのだが、明日すぐにも発たなくてはならないので、簡単な食事だけだ。
「けどよかったじゃない」
「………依頼が続けられる」
「ええまあいいでしょう、捕まりましたが私を守ったことには違いありませんし、けど私を一人にしたのでその分の依頼料は引かせてもらいますよ」
「わかってます」
これに関しては何も言えない、これはファクラーさんの言い分が正しくむしろ待っててくれる方が感謝するレベルだった。
「まぁそんな堅い話は置いといて、盗賊たちからどうやって逃げ出したんですか」
「あれはタナカさんが大活躍してましたよ」
「大活躍ってそんななんもしてないよ」
「何にもってわけじゃないじゃない」
「………決闘して勝った」
「いやあれは」
「そうだったんですが、決闘して勝つほどの」
「そうでもないですようまく技にかかってくれたんで」
「技ですか」
「まぁなんというか護身術というか」
手首をひねり犯人の凶器を落とすという技で習ったときは使うとは思わなかった。だが何とか使えてよかった。
「その技教えてもらっても」
「いいですよ」
座りながら簡単に説明する。まあ手首をひねるだけだが効果は高い。
「こんな簡単なのに効果がね」
「試してみます」
「いや、ですが武器を落とせるんでしょ」
「まぁ運が良ければ」
「それだけ聞ければいいです」
というわけで食事がお開きになった時に。
「明日も朝早いので、悪いですが」
「わかりました、自分たちのために遅らせるわけにはいかないのでかまいませんよ」
「そうですか」
「明日は早めに起きてきます」
「そうですか」
「それではおやすみない」
疲れ切った体を休めるためにファクラーさんがとってくれた部屋でぐっすりと体を休めた。




