第21話 逃げるぞっ
サーモグラフィカメラで楽をする計画が失敗し、地道に監視をするしかなさそうだった。
「はぁ」
いるかもわからないものを探すのはつらい。
「本当にいるの」
「………いるかも」
「そっか」
確定ではないようなので警戒するのをやめない。やめたところを襲われたくはない、だからじわじわと体力を奪われる。
「タナカさん干し肉とパンです」
「ありがとう」
だからリズが差し出してくれた、食事を食べる。
「うんいつもの味だ」
堅く少し苦い黒いパンで塩味の効いた何かの干し肉を挟んだサンドウィッチだ、それにかじりつきながら警戒する。
「はぁ」
堅いパンに、水を飲みながらの警戒だ。
「もう何か出てこいよ」
待機すればするほど、体力が減っていく。
「タナカ代わる」
「助かる」
そう言ってバトンタッチするが馬車から顔を出さないように寝たままだ。業者席に座っているエレナはメリベルがカバーして前に進む。ファクラーさんは業者席まで幌に覆われているので弓矢ぐらいなら防げるだろう。魔法は詳しくないので知らない。
「出ないといいんだけど」
「そうですねタナカさん」
「けど出てきたらどうするのよ」
「数が多ければ逃げて次の村にも冒険者いるわけだし戦えないわけないと思うし、数が少なければ迎撃」
と顔を出す。
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉ」
矢が飛んでくる、それを回避する。
「て、敵っ」
矢が飛んできた方を見る。
「おおっ」
「タナカ」
「エレナ急げぇ」
なんかすごい数がいた。馬に乗って襲撃してくる。
「襲われないんじゃないのかよ」
「獲物だー狩れー」
「………と言う事みたい」
「近寄らないからかよ」
獲物が減っていて、いろいろ集まってきたらしい。アサルトライフルを、杖を、仕込み杖を。
「逃げるぞっ」




