第20話 サーモグラフィカメラか
銃を構え、辺りを警戒する。襲われる可能性は低いとは言われたが、ないとは言われてないからだ。だから護衛対象の支援や反撃をするためにしているのだがのどかな自然が広がるだけで敵が現れることはなさそうだ。
「リズ敵いそう」
「すいませんタナカさんわからないです」
「そっか」
こう言うときに問答無用で敵を発見できる魔法なんかがあればいいのだが、この世界の魔術は基本戦闘に使われるものだけらしい。一応魔法の道具なんかもあるのだが、これまでそういった敵を発見する道具なんて見たことないし、使っているひともいなかった。なので獣人の嗅覚のよさを信じて聞いてみたが結果はダメであった。
「はぁどこまでこの状態で進めばいいんだか」
そう愚痴ってしまう。
「タナカさん急にどうしたんですか」
「いや敵がいるかいないかわかんなくてさ、なんかそういった魔法とかないの」
「ないわよ」
「ないのか」
「ええ」
完璧になさそうだった。
「タナカたちの世界ではこういったときはどうしてたのよ」
「こういった時って」
敵がどこに潜んでいるかわからないときと言うことだが、こう言ったときは。
「サーモグラフィカメラか」
「なにそれ」
「体温とかを遠くから測定できる機械だな」
という知識はあるが、使ったことはない。そして今は持っていないが、未来の技術の塊であるスライムにかかれば。その言葉に反応したのだろう、視界が緑から真っ赤に変わる。
「うわっ」
「タナカ」
もとに戻る。急にサーモグラフィが作動したのはわかったが、すべてが高温を示す赤に変わったのは驚いた。もう一度変えてみる、しかし赤一色だ。これでは敵を見つけるだけではなく、そもそも人を認識するのが不可能だ。
「タナカ急に驚いてどうしたのよ」
「いやスライムが視界をすべてサーモグラフィカメラの画像に切り替えてくれたんだけど、壊れてた」
「そうなの残念だったわね」
楽はできないようであった。




