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第19話 襲う理由はない

 メリベルの言葉を受け、銃を抜く。

「どこらへんかわかる」

「………気づいたの私じゃなくてエレナ」

「じゃあエレナ」

 エレナは右側を指す。要するにそっちの方から気配を感じたのだろう。

「あのどうかしましたか」

「ファクラーさん気を付けてください、何かいます」

「……そうですか」

「タナカ、魔術の準備できたわ」

「タナカさん」

「メリベルはエレナを頼む」

「………わかった」

「エレナはできる限り急いでもらいたいけど、できる」

 頷く、たぶんできるのだろう。こんな危なそうなところは早く抜けてしまいたい。一応最悪の事態に備え、自分も銃を抜いておく。先制攻撃は向こうだろう。

「こんなことなら馬車に鉄板でも仕込んでおくべきだったかな」

 エレナはそれを聞き首を横に振り悲しそうな顔をする。

「タナカそれだと、馬使い潰すことになるわ」

「………それにこれ奪いものだから仕方ない」

「まぁそうなんだけど、木の板じゃ銃弾撃ち込まれたら最悪じゃ」

 馬車に穴が開くばかりではなく、体にも穴ができるところを想像してしまう。

「タナカさん大丈夫ですよ」

「タナカ盗賊とかは銃弾入手しにくいからなかなかないわよ」

「………それにこの馬車をそこまでして襲う理由はない」

「それはそうなんだけど」

 イベント的には馬車が盗賊に襲われるのはよくあるのだが、これは王族の馬車とか貴族の馬車なんかではなく、危険物を運んでるわけでもなく、さらに言うなら魔物の被害もほとんどない世界だ、緊張するだけ無駄かもしれないが、適度に緊張しておいて悪いことはないだろう。だからアサルトライフルを抜き、マガジンを抜き、弾を確認、もう一度ライフルに差し込み、差し込んだマガジン2回たたき、完璧に刺さっていることを確認する。後はライフルを向け続ける。

「けどこんなところに盗賊とかいるの」

「使われる街道なら騎士団が処理してるはずなんだけど」

「すみません、このルートはあまり人が通らないんです、盗賊が出るかもしれないって」

「そうだったんですか、でこの後はそういった道は」

「何か所か」

「そうですか、後で詳細聞かせてください」

 ファクラーさんが嫌なことを伝えてくる、何度か飢えたオオカミのそばを通らなくてはならないらしい、いやオオカミではなく、それより弱い生き物かもしれないし、それ以上の危ない存在かもしれないが。

「はぁ警戒し続けるのか」

 暇は嫌だったが、暇ではなく、命の危機に晒されているよりはよかったかなと思いながら警戒を続ける。

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