第1話 魔王が復活したみたいです
2話目です
今日も今日とて冒険者ギルドに入りびたり仕事を探す。と言っても本気ではなく気楽にできそうな仕事だ。
「とはいっても仕事なんて」
冒険者ギルドと言っても、要するに仕事斡旋場で、その仕事も警備や護衛の長期にわたる仕事ばかりで1日で終わる仕事はない。その上警護や護衛の仕事も冒険者指名していることが多く、仕事ができない。理由は簡単でモンスター退治と言ったものはすべて国の騎士団が行い、さらにダンジョンなども確認されているのはほぼすべて閉鎖。わずかに残っている警護や護衛は信頼が大事なので新しく開拓するのは難しいし、騎士団も魔王退治で増大しているので仕事の一環として警護や護衛も行っているようで本当に仕事がない。
「ないな」
「ないですね」
「タナカ仕事あった」
「ないよ」
「………仕事する必要あるの」
「まぁそれもないけどさ」
と言うのも、とある貴族の命を救ったことで結構な大金を手に入れている。そのおかげで6人が食っていくのは問題ないほど余裕がある。だからと言って仕事しないのも嫌なのでギルドに入り浸ってはいるのだが仕事は見つかりそうではなかった。
「あっタナカさん今日も依頼探しですか」
「えぇ、ミーヤさん」
彼女はギルド職員のミーヤさんだ。この世界に来てから初めてお世話になった人でもある。
「仕事ないですからね」
「不景気なんですかね」
「冒険者関連だけは、ほかは物流もいいですし。タナカさんたちも何か新しいことはじめればいいのでは」
「いやいやそういうミーヤさんは」
「私はほかのギルドに移動するだけなので」
「あっそうなんですか」
「そうなんですよ」
そんな世間話をしていると、男が一人駆け込んでくる。
「ほらよ冒険者ギルド関連の手紙で、依頼料払ってくれよ」
「わかりました、これを」
そんな感じで手続きを行っていく。
「そんじゃあな」
そうして男は去って行った。
「えっと手紙と言ってもどうして冒険者に急がせて届けさせたんですかね」
そうはつぶやいているが、気にしている場合ではない。仕事の種を見つけたからだ。手紙を届ける仕事を。
「えっうそ」
そんな思考は途中で遮られる。
「どうかしましたか」
「魔王が復活したみたいです」