第17話 おきられるかな
「ただいま」
「………仕事見つからなかった」
「おかえり」
「おかえりなさい」
夕方ごろになりイリアたちが宿に戻ってくる。
「やっぱり仕事はないかい」
「ないですね」
「………みんな仕事してたけど手伝いはいらないって言われた」
「まぁ畑は収穫期でもないから人雇ってすることもないし、村の安全も専属がいるからね、しかたないよ」
不景気な話題だ、気分が重くなる。まぁ不景気と言っても自分たち冒険者だけであるが。
「仕方ないかぁ、そういえばジルさん景気は」
「景気かい、こんな小さい村だからねたまに来る行商人くらいだね」
「そうですか」
魔王が出現したのだが、まだ避難民は出ていないのか、遠すぎてまだついていないのかわからないが忙しくないらしくこの宿で手伝うこともなさそうだ。
「あぁそういう事かい、この宿で手伝うことはないよ、あたい1人でなんとでもなるから」
「そうですよね」
宿の形態としては雑魚寝で、食事つき。宿の仕事としては、掃除と食事ぐらいだろう。忙しかったら違うのだろうが2組しかいなければ余裕なのだろう。
「はぁ」
仕事がない、わけではないが。
「タナカさんお疲れ様です」
「ファクラーさん」
ファクラーさんが宿に戻ってくる。
「いえそれでみなさん、商談が終わりましたので明日移動しますがよろしいですか」
移動だ、ちょうどよかった。
「かまいませんよ」
イリアたちを見るとみんな頷いている。
「そうですかよかった」
「いえ、で明日のいつごろ」
「夜明けごろには出発します、遅れないで下さいよ」
「………わかりました」
そんなわけで明日の予定が決まる、明日からは移動だ。
「けどおきられるかな」
それだけが不安だった。




