第13話 それならいい仕事があるよ
「いやぁ初日の仕事はどうでしたかね」
「どうとは」
「いえいえ遅くて護衛しにくいとか、逆に移動が速すぎるといったことは」
「ないよな」
「ええ、そうね」
「私からもありませんよタナカさん」
「………ない」
「そうですかそれはよかった」
今は宿の1階にいて、ファクラーさんと共に反省会と称した酒飲みだ。その反省会ももう終わり今はただの酒飲みではあるが。
「それであなたがたは今から何をするんですか」
「ファクラーさんは」
「商談ですかね、それが終わるまでは移動できずに申し訳ない」
「いえいえそれが仕事なので」
「けどどうするのタナカ」
「………することないと暇」
「暇と言われてもなぁ」
「なら仕事をあっせんしてもらうのはどうでしょうかタナカさん」
「仕事のあっせん」
「ええ」
「なるほどなら」
そう言ってイリアは宿のおかみさんの所に向かう。
「………宿の主人は人づきあいが多いから」
「なるほど」
ここでクエスト的なものを受けられるのだろう。
「なかったわ」
「…うん」
彼女が言うには宿屋的な非公式な依頼所に関しては、確実に依頼があるわけではないらしい。そもそも公式的なギルドですら依頼がないのだからないのはあたりまえかもしれない。
「あんたらも飢えてるのかい」
へこんでいる中、そのへこましてくれた人物ジルさんだ。
「ええまぁ」
「悪いね仕事紹介したいのはやまやまなんだが、この村にも馬鹿どもがいてね」
「馬鹿どもとはひどいっすね」
「馬鹿どもは馬鹿どもだろう、いっつも酒で問題起こしてさ」
「まぁ間違いじゃないな、何か食い物をくれないか」
「わかったよ、まっほかの客も来てるんだお行儀よくしてるんだよ」
「わかってます」
そんな感じで村の護衛とジルさんが会話している。
「お食事代くらいは出しますよ」
「それはありがたいのですが体を動かさないと」
「なんだい体を動かしたいのかい」
急にジルさんが混ざる。
「それならいい仕事があるよ、明日の朝顔だしな」




