第11話 そうだよなぁ
「はぁ」
マイヤーたちと飲み会が終わった翌日。
「どうしましたかタナカさん」
「あっいえ何でもないですよファクラーさん」
「タナカ大丈夫なの」
「いやぁ久しぶりの仕事でさぁ、緊張してる」
「………確かに」
ギルドの依頼自体久しぶりなのだ、緊張してしまう。
「けどタナカさんがんばりましょう」
「そうなんだけどなぁ」
依頼中は文句は言うわけにはいかないのだが、ファクラーさんはそういったことを気にしていないので少し漏れてしまう。
「それで今日はどこまで」
「今日からは南の大都を約5日かけてめざします、依頼はひとまずそこまでで、そこからは約5日の仕事ぶりから判断させていただきます。お願いするときはまた再度契約するという形になります、まあひとまずは移動の警備ぶりを見ますね」
と言うわけで警備しながら進むのだが。
「暇だ」
警備と称して、自分たちの馬車でついていくのだが馬車を操るエレナ以外は、周囲を警戒するといいつつ景色を眺めたり、交代で警備すると称して休んだりとすることがない。なぜなら大きな道を通っているのでモンスターの類は騎士団が処理した後だし、盗賊とかも騎士団が処理した後なので、警備と言ってもすることはない。この世界における冒険者の最大の敵は騎士団、と言うか国だ。兵士と言う形で戦える人材を多数揃え、給金と言う形で依頼料を安くでき、訓練と言う形で一定の強さを提供できる。冒険者にとって最大の敵であった。その敵からこぼれた依頼を多数の冒険者が凌ぎ合い、奪い合う。そして仕事を手に入れたやつらから冒険者をやめて、誰かに仕えたりしていくらしい。自分たちにも何件か来ていたがお金があったので断っていて、特殊な冒険者に分類される。そんなことはどうでもいいとして警備の仕事だ。
「何かいるか」
「なんにも」
「………いない」
「そうだよなぁ」
本当にのどかな風景が広がっていた。




