第10話 まぁ飲もう飲もう
「待たせたな」
「お兄ちゃん遅い」
「遅いって言われてもな、仕事なんだし仕方ないだろう」
そんなことを言いながらマイヤーとティアナが入ってくる。
「おいおいそんなにかしこまってなくても」
「こっちは庶民なんだよ」
「んっああなるほど、まぁいいか酒と食事をここに、タナカは酒は」
「大丈夫だけど」
「ならいいのがあるんだ、安かったがまあ鑑定チート持ちってことで安心してくれ」
「………チート」
「いいよなぁチート」
「まぁどうしても目立っちまうからな、一長一短だ」
「お持ちしました」
いつの間にか作られたのか知らないがいろいろな料理が持ち込まれる。それに酒にグラスだ。それがみんなに渡されたコップに注がれていく。
「久々の再開と、陰の立役者たちに乾杯」
「乾杯、って陰の立役者」
「まあいろいろ感謝してんだよ、じゃなかったらあんな金渡してない」
そう言ってコップをぶつけ合う。いい音が鳴る。そのままコップに注がれた飲み物を飲む。
「あまっ」
「はははっ妹はまだ未成年なんでね、この屋敷では酒と言われようがジュースが出てくるんだよまあ悪いな」
「ここ異世界なんだから未成年でも飲んでいいじゃん」
「駄目なものはダメ」
「………おいしい」
エレナはメリベルの言葉に頷く。
「まぁそれはいいんだ、聞きたいことは一つイリアさんおじいさんは」
「まだ連絡ないけど、前の手紙だとおばあちゃんといちゃいちゃしてるらしいわ」
「そうか」
イリアのおじいちゃん、ササキは、要するに元魔王な元勇者だ、その奥さんであるイリアのおばあちゃんはエルフと呼ばれる種族で長寿だ。2人はラブラブでおばあちゃんのために魔王、と言うより世界に喧嘩を売ったらしい。
「なら今回の魔王はだれだ」
「お兄ちゃん何の話」
「と言うかそれを聞きたかったってことは」
そこで言葉が変わる、現地語から日本語に。
『魔王に対してわが国はどれだけの戦力を出すかだな、と言ってもいろいろ状況が面倒らしく被害にあった国では内部から乗っ取られたらしい。本当に吸血鬼みたいだよな』
『でそれって』
『わからん市民の噂だ、と言うかそんな国はまだないなどこもまだ連絡が途絶えてないし、これは秘密なんだが潜ませてるのからも連絡は途絶えてない、だが噂の出どころが多く各国無茶ができない状況だ』
『それで戦力っていうのは』
『偵察用のだ、各国が各国ごとに秘密裏に監視するらしい』
伝え合ってどうするんだという感じではあるが、どこにアルフがいるのか、そもそも敵がいるのか怪しくなってきた。
『我が国は通常戦力をユーリが率いることになったな』
『ユーリ』
『ああ彼はこの国の勇者兼貴族だからな、まあ率いるの当然だな』
『あれが勇者か』
「まあ安心したさすがに恩人は撃ちたくないし迷惑をかけたくないからな、まぁ飲もう飲もう」




