啄木くん
高倉先生は悩んでいた(-_-;)
六年二組で啄木くんという転校生を引き受けてくれないか三条校長に頼まれたのである。
すでに定家くんがいるので、厄介ごとは抱えたくなかった。(-_-;)
ちょっと情緒不安定な子と前の学校から言われていた。
しかし紫先生が代わりに責任を負ってくれるはずもなく、結局、高倉先生が引き受けることになった。
啄木くんはルックスなどは意外と垢抜けて、女の子たちはキャッキャッと騒いでいた。
啄木くんは休み時間に手鏡を見て髪をさわったり、田舎の男子である定家くん、鳥羽くん、子規くん、茂吉くんたちは静かに怒りのアウラを出していた。
そして事件は作文の時間に起こった。
啄木くんは都会の劇団の子役のように芝居がかった感じで作文を読んでいた。
「僕たちは革命を起こして、この社会を変革しないといけません!僕は革命のポエムを書きます。みんなが幸せに暮らせる新しい時代を作るのです!定家くんや子規くん、茂吉くんだって幸せに生きる権利があるはずです!」
定家くんはそろばんの入った袋でいきなり啄木くんの顔を殴った。
啄木くんが定家くんをだしに人気取りをすることが癇に障ったのである。
定家くんのパパ、俊成さんが謝りに来た。
高齢になって息子が出来たので、仕事は引退しており、稲荷神社で子供たちにボランティアで習字を教えていた。
「高倉先生・・・」
「大丈夫ですよ・・・子供のケンカですから」
俊成さんは和紙に書いた歌を見せた。
「年くれし涙のつららとけにけり苔の袖にも春や立つらむ」
あー、困ったな。高倉先生は定家くんと啄木くんを抱え、やるせなかった。
啄木くんは少し慣れてくると女子の胸やお尻をさわるなど心の黒いところが出てきて、嫌われ者になった。
「一度でも我に頭を下げさせし人みな死ねと祈りてしこと」啄木くん
「ふるさとの山に向かいて言うことなしふるさとの山はありがたきかな」啄木くん
「ふるさとを出でしにまさる涙かな嵐の枕夢にわかれて」定家くん
「あしびきの山路の秋になる風はうつろふ人のあらしなりけり」定家くん